弁護士ブログ

2015.07.21更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 平成27年7月19日,静岡県西伊豆町において,鹿避け電気さくで7名が感電する事故が発生し,そのうち成人男性2名が亡くなりました(以下「本件事故」といいます。)。

 亡くなられた方々におかれましては,お悔やみ申し上げます。

 

 本件事故のように電気さくによる死亡事故は,平成21年に兵庫県南あわじ市でも起きています。その時は,猪避けの電気さくに触れた男性が感電死しています(兵庫の事故では,電気さく用電源装置を使わずに,家庭用交流 100Vを電気さくに直付けしたことが原因でした。)。

 

 上記事故は電気さくに直接触れたわけではなく,壊れた電気さくの一部が水に浸かり,子どもを助けようとした人らが感電するという状況であったようです。

 

 今回は,電気さくを規制する法令について,説明をしてみます。

 

1 電気さくを規制する法令

 

 電気さくを規制する法令としては,「電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づく電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)第74条」があります。

 

(電気さくの施設の禁止)

第74条 電気さく(屋外において裸電線を固定して施設したさくであって,その裸電線に充電して使用するものをいう。)は,施設してはならない。ただし,田畑,牧場,その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設する場合であって,絶縁性がないことを考慮し,感電又は火災のおそれがないように施設するときは,この限りでない。

 

 このように,電気さくの設置は「原則禁止」なのです。ただし,野獣の侵入等を防ぐ目的で,感電又は火災のおそれがないように安全性に配慮して設置するときは,「例外的に許容する」ということとなっているのです。

 

 安全性への配慮については,「農林水産省生産局農産部農業環境対策課鳥獣災害対策室からの要請」があります。

 

1. 電気さくの電気を30ボルト以上の電源(コンセント用の交流100ボルト等)から供給するときは,電気用品安全法(昭和36年法律第234号)の適用を受ける電源装置(電気用品安全法の技術基準を満たす電気さく用電源装置)を使用すること。

2. 上記1.の場合において,公道沿いなどの人が容易に立ち入る場所に施設する場合は,危険防止のために,15ミリアンペア以上の漏電が起こったときに0.1秒以内に電気を遮断する漏電遮断器を施設すること。

3. 電気さくを施設する場合は,周囲の人が容易に視認できる位置や間隔,見やすい文字で危険表示を行うこと。

 

 

2 本件事故から得られる教訓

 

 本件事故では家庭用の100ボルト電源を使用しているため,

①電気用品安全法の技術基準を満たす電気さく用電源装置

②15ミリアンペア以上の漏電が起こったときに0.1秒以内に電気を遮断する漏電遮断器

③周囲の人が容易に視認できる位置や間隔,見やすい文字で危険表示

 

を取り付ける必要がありました。現時点で詳細は調査中のようですが,少なくとも,本件事故を起こした電気さくには本来であれば設置しなければならない「漏電遮断器」と「危険表示」がされていなかったことが判明しています。

ただ,安全に基準に合致した電気さくであっても,

•漏電遮断器の故障

•電気さくが大雨で流されて,水たまりや水田・川に浸かっている

等の状況によって,人間が感電する危険性があることを本件事故から知ることができました。

 

本件事故を受けて,すべての電気さくが改善されることを望みますが,実際には難しい面もあると思います。電気さくには絶対に触れないようにし,自己の生命・身体を守るほかなさそうです。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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