弁護士ブログ

2015.12.26更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日,当事務所は大掃除を行いました。昨日がクリスマス(東京の空は,夜にはすっかり晴れて,満月を拝むことができました。)であったことを忘れさせる行事となりました。

 午後1時30分ころ,来客があり,別れ際「よいお年を!」と声を掛け合いますと,いよいよ今年も終わりだなと感慨を深めた次第です。

 そして,先ほど当職宛に懐かしい人物からの手紙が届きました。当職が事件を担当した少年(当時)からの手紙でした。その少年が行った行為は重罪であり,少年事件から刑事事件(裁判員裁判対象事件)を行った後,民事事件も担当させていただきました。その少年もすでに20歳となったと手紙に書いてありました。手紙の筆致や内容からは,生来の素直で他人を「思いやる」優しい性格がにじみ出ており,しっかり更生していることが強く感じられました。

 

 「思いやる」とは,相手の立場や気持ちを理解しようとする心の意といえます。相手の心に寄り添い,言葉をかける。ただ,横に座っているだけでも,「最高の思いやり」となる時があります。相手の苦しみを知り,同苦する,同苦しようと努力する真心が,相手の心に伝わらないわけがありません。当職は「誠実な応対」を心がけています。

 

 今年は本当にいろいろな方からの法律相談を受けました。法律相談というよりは,人生相談のほうがふさわしいような相談も多数ありました。相談者の相談前と相談後のお顔がぱっと明るく変わった姿をみることこそが,弁護士冥利に尽きるといえます。まぁ何はともあれ,平穏無事に年末を迎えられていることを感謝したいと思います。

 

 大乗仏教では菩薩の精神が説かれます。「自分だけが」という自己中心性を乗り越え,他者を思い,自他共の幸福を築くという利他の精神が菩薩の精神です。「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」という箴言がありますが,来年も菩薩の行動をとることができるか,今の自分に菩薩の精神がありやなしやを常に問う仕事に徹していく決意です。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.25更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日12月25日は,クリスマスです!もはや日本の冬の風物詩。宗教的意味合いは薄れ,習俗的行事となりました。街はLEDのイルミネーションの電飾であふれかえっています。今日をご家族や大切な人と過ごされる方々も多いでしょう。そんな日を天空から祝福するかように,本日は38年ぶりの満月のクリスマスだそうです!

 当職は,ビートたけしさんが歌った『嘲笑』(作詞:北野武 作曲:玉置浩二)という曲が好きです。とくに1番の歌詞が好きです。

 

【以下,引用始め】

星を見るのが好きだ 夜空を見て 考えるのが 何より 楽しい

百年前の人 千年前の人 一万年前の人 百万年前の人

いろんな人が見た星と ぼくらが今見る星と ほとんど変わりがない それがうれしい

【以下,引用終わり】

 

 忙しい日常に忙殺されていてはいけない。当職は「詩心」を忘れないように心がけています。

 

 さて,本日満月がもっとも大きくなるのは,日本時間の20時11分ころだそうです。満月を楽しむにはベストなタイミングといえましょう。また,今回の満月のクリスマスを逃すと,次回の満月のクリスマスは,なんと2034年だそうです。ちなみに,前回の満月のクリスマスは1977年(昭和52年)でした。

 

 1977年(昭和52年)といえば,「遠い昔,はるか彼方の銀河系で…(A long time ago in a galaxy far, far away....)」で始まるスター・ウォーズが公開された年です。また,当職は,この年にテレビ放送された『大鉄人17』(だいてつじんワンセブン)の大ファンです。『大鉄人17』は,石森章太郎(石ノ森章太郎先生)原作の毎日放送・東映製作の特撮テレビ番組であり,作中に登場する架空の巨大ロボットの名称です(全35話あります。たまにDVDを鑑賞するのですが,隣の妻は呆れています。)。当時発売された『DX超合金・大鉄人17』は,劇中に登場する17(ワンセブン)の変形機構をかなり忠実に再現しており,超合金シリーズ史上最多の販売数を記録するメガヒットとなったことはあまりに有名です(自宅に置いてある超合金をたまに変形させて遊んでいます。)。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.24更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 今日はクリスマス・イブです。東京は晴れですから,ホワイト・クリスマスとはならなさそうです。どなたに聴いても「今年の冬は暖かい」といいます。スキー場も大変そうです。そんな本日午前,以下の報道がありました。

 司法試験の出題内容を教え子に漏らしたとして,国家公務員法違反の罪(守秘義務違反)に問われた明治大学法科大学院元教授のA被告人(67歳)の判決の公判期日が,本日24日,東京地裁で開かれました。

 裁判所は「司法試験の公正さに対する信頼が大きく害された」と述べ,懲役1年,執行猶予5年(求刑懲役1年)の有罪判決をを言い渡しました。A被告人は起訴内容を認めていました。

 裁判所は,A被告が問題作成などを担当する「考査委員」の立場にありながら進んで問題を漏らし,その範囲も大きいと指摘し,「社会的影響も軽視できない」と述べたそうです。他方,「失職など社会的制裁を受けていることや年齢などを考慮すると執行猶予が相当」と判断したそうです。

 検察側は公判で,A被告人は交際していた20代女性(交際していたというのが,どうも引っかかります。まさに「真実は小説より奇なり」といえましょう。)を今年の司法試験で不正に合格させようと,作成に関わった憲法分野の試験問題を事前に伝え,答案を添削したなどと主張しました。A被告人は被告人質問で,女性が昨年の試験で不合格になったことに触れ,「自分の娘に泣かれているようで,何とかしたいと思った」と弁解していました。

 判決によりますと,A被告人は本年2月から5月までの間,自らの研究室などで数回にわたり,女性に司法試験の憲法分野の出題内容を漏らしたそうです。

 A被告人は,憲法分野の考査委員の取りまとめ役である「主査」の立場でした。同委員は非常勤の国家公務員で,守秘義務が課されていることから,本件に至ったわけです。

 

 A元教授は,その名前から「ブルー卿」と呼ばれていたそうです。67歳とのことですが,人生の集大成をなすべき時期となっての凋落とは…。しかし,過去を変えることはできませんが,過去の意味を変えることはできます。残りの人生をしっかり生きていただきたいと思います。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.23更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 女性にのみ離婚後6か月間,再婚を禁止している民法第733条第1項について,最高裁判所大法廷は「100日を超える部分は憲法違反」という判決を下しました。判決が下された当日となる平成27年12月16日,法務省はさっそく,離婚後100日経過した女性について婚姻届を受理するよう,全国の自治体に通知を出しました。法律が改正される前に,行政が運用を見直すスピード感のある動きといえましょう。

 ここで一つの疑問が生じます。法改正を待たずに,行政が運用を変えることは問題ないのでしょうか。

 

●実は「違憲とされた法律は無効」とはならない?!

 憲法学においては,「違憲判決の効力」という論点があります。すなわち,最高裁判所により法律が憲法に違反するとした違憲判決が出された場合,その判決の効力は,法律を一般的に無効とするのか(一般的効力説),それとも法律は当然には無効にはならないのか(個別的効力説)という問題です。

 わが国の憲法学の通説は,最高裁判所により違憲判決が下された場合であっても,その判決はその裁判の当事者間にのみ効力が生じ,違憲とされた法律は当然に無効とされるものではないという個別的効力説を採用しています。

 個別的効力説からすると,上記の民法第733条第1項が規定する女性の再婚禁止期間の「100日を超える部分」を憲法違反とする判決の場合も,国会の法改正がなければ,民法第733条第1項の規定そのものは変わらないという帰結となります。

 

●法改正の前に「通知」が出された理由

 そうしますと,法律の規定そのものは活きているということとなります。行政は法律に従う義務がありますから,国会の法改正があるまでは,現行の民法第733条第1項の規定に従った運用を行うべきとも思えるところです。

 しかし最高裁の違憲判決後も,離婚から100日経過した女性の婚姻届を行政が受け付けなかった場合,今回と同様の訴訟が再び提起されることが予想されます。その際には,ほぼ確実に違憲・無効の判決が下されるものと考えられます。

 それを見越して,行政は法改正を待たずに,違憲判決を踏まえた通達を出し,事実上国会の法改正を先取りする法運用を行う傾向があります。また,最高裁大法廷で違憲判決が下されたということは,将来国会による法改正が行われることが当然予想されるともいえます。

 

●過去には,尊属殺重罰規定違憲判決後における検察庁の運用があった

 わが国で初めて最高裁判所大法廷が違憲判決を下したのは,昭和48年4月4日のことです。当時の刑法第200条が規定していた尊属殺人罪の法定刑が,日本国憲法第14条の「法の下の平等」に反して無効であると判決を下したのです。

 その違憲判決後,検察庁は尊属殺に該当する事件でも,通常の殺人事件として起訴する運用を行いました(ただし,刑法第200条が削除されたのは,違憲判決から20年以上も経過した平成7年です。)。

 今回も最高裁判所大法廷で違憲判決が下されている以上,その違憲判決に従った法運用を行うことこそ「法の下の平等」の観点からも望ましいということで,法務省の通知があったのでしょう。来年の通常国会が期待されます。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.23更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日12月23日は,天皇誕生日です。天皇陛下(現在在位されている天皇を「今上天皇」と一般的に呼んでいます。これは天皇陛下のお名前ではありません。ちなみに,本来は「今上」という言葉だけで現在の天皇を意味するので,「今上天皇」だと重言になってしまいます。しかし,追号を与えられた過去の天皇らと並べる際に「今上」,あるいは追号を与えられた天皇と同様に尊称を付けて「今上陛下」として並べますと,「明治天皇,大正天皇,昭和天皇,今上(陛下)」となってしまい,並びが良くありません。このため,「今上天皇」と呼称することが一般化してしまっているという経緯があります。)は,御年82歳となられました。天皇陛下は,ご自身の誕生日に当たっての記者会見において,大東亜戦争(太平洋戦争)中に旧日本帝国軍に徴用された民間船の船員が多数犠牲となったことについて,声を震わせながら話される場面がありました。

 

 会見で天皇陛下は,この1年の出来事について述べられた後,今年が戦後70年に当たることに鑑み,戦争の話題を切り出されました。先の戦争において民間人も含め多くの人命が失われたことを「非常に心が痛みます」と述べ,戦没船員の話題に及ばれると,お声が震え始められました。

 天皇陛下は幼いころ,船の絵はがきを見て楽しんでおられたそうですが,それらの船のほとんどが撃沈されたことを後に知ったと吐露されました。声を震わせながら「制空権がなく,輸送船を守るべき軍艦などもない状況下でも,輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを本当に痛ましく思います」と話されました。感情が込み上げてきた様子がうかがえました。

 6月に神奈川県横須賀市で行われた第45回戦没・殉職船員追悼式の際には,亡き船員を思い,「戦没船員の碑」に供花したと述べられました。

 大東亜戦争(太平洋戦争)では,米軍などに撃沈され,民間船の船員ら6万人余りが犠牲となっております。天皇,皇后両陛下は第1回や第30回,第40回の追悼式に出席するなど,戦没船員に長年心を寄せてこられました。戦争ほど残酷で悲惨なのものはありません。戦後70年の今年は,当職も思索をさらに深めることができました。天皇陛下は戦争は国民を不幸にすることを皮膚感覚で教えてくださっています。

 

 憲法学の世界では,「天皇のおことばの合憲性」という論点があります。日本国憲法第1条は,天皇の地位について,「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(この「統合の」という訳文は,法律用語とはいえませんが,わが国の歴史をふまえた絶妙な訳であると感心しています。)と規定しておりますが,天皇陛下が「おことば」を述べられる行為は,日本国憲法上の制約を強く受けるものなのです。その意味において,天皇陛下が「おことば」を述べられる度,陛下の勇気と強さを感じます。国民に寄り添い,国民と同苦し,励ましを送られている稀有な公人のお一人と感服しております(ちなみに,「公の人」を「こうのひと」と言っておられた著名な方がおられました。だれに聴いたか知りませんが,通常は「おおやけのひと」と読むのではないでしょうか。)。

 「公人」たるべき人がまったくその職責を果たしていない現状をみますと,あきれるかぎりです。「ノブレス・オブリージュ(仏語: noblesse oblige)」こそ重要であると思います。人物を見極める審美眼をしっかり身につけなければなりません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.21更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 1977年(昭和52年)に公開されるや,世界中の人々(そのなかにはもちろん当職も含まれます。熊本の田舎でコカ・コーラのビンの王冠を収集していました。)に多大な影響を与えた『スター・ウォーズ』。2005年(平成17年)公開の『スター・ウォーズ エピソード3  シスの復讐』以来10年ぶりとなる新たな3部作の第1弾・『スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒』が先週末12月18日(金)から全国一斉公開されました。『エピソード6 ジェダイの帰還』(この呼び方は往年のファンである当職にはいまだ違和感があります。やはり公開時の『ジェダイの復讐』がしっくりきます。もちろん,映画の内容からは『復讐』より『帰還』のほうがよりふさわしいことは理解できるのですが。)から30年後の世界を舞台にした物語が,ヒロインのレイをはじめとする新キャラクターたちや,ハリソン・フォード,マーク・ハミルといった旧3部作のキャストとともに描かれる内容となっているようです。

 ニュース報道等でもとりあげられておりましたが,熱狂的に受け入れられているようです。ほとぼりがさめるころになって,妻(妻も『スター・ウォーズ』シリーズの大ファンです。)と一緒に鑑賞しに行きたいと思います。

 

 ファンの間では,『スター・ウォーズ』を見る際どの順番で見たらよいかという論争があります。当職は,断然「公開順で見る派」です。時系列にしたがってエピソード1から見る派(いわば「時系列で見る派」です。)もおられるようですが,当職的にはいただけません(余談ですが,かつて,『ゴッドファーザー』3部作を時系列に並べ替えた企画モノのビデオがあり,レンタルしたことがありました。見終わった後,「最悪。どうしてこんなことをしたのか。時間と金を返せ」と憤った記憶があります。)。

 まぁ好みは分かれるものですが,やはりどちらから見ても面白いことにかわりはありません。

 

 ただ,少し驚いた内容の報道がありました。先週末の12月19日及び20日の全国映画動員ランキングは,『映画妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』(全国358館)が初登場で首位を飾り,第2位は『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(全国371館)となったそうです。恐るべし『妖怪ウォッチ』・・・。ひょっとしたら,このことを予言し,"I have a bad feeling about this."と感じていた方もおられたかもしれません(この方は,フォースの使い手でしょう。)。

 まぁ,とてもかくても,「フォースと共にあらんことを」 

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.17更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 昨日のブログでも紹介いたしましたが,夫婦別姓を認めていない民法750条について,最高裁大法廷は昨日平成27年12月16日,「夫婦同姓の制度は我が国の社会に定着してきたもので,家族の呼称として意義があり,その呼称を一つにするのは合理性がある」などとして,憲法に違反しないという判断を初めて示しました。15人の裁判官のうち10人が「合憲」としましたが,その一方で,女性裁判官3人を含む5人が「違憲」という意見(この少数意見のことを「反対意見」といいます。)を表明しました。

 最高裁は同日夜,ウェブサイトで判決文を公開しました(ちなみに,最高裁の判決文は,ウェブサイトで誰でも見ることができます。)。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/546/085546_hanrei.pdf

 

 今回は,最高裁判決における「意見」について,説明してみます。

 

●各裁判官の「意見」が表示されるのは,最高裁の判断だけ

 三審制を採用しているわが国における判決等の裁判は,地方裁判所,高等裁判所,最高裁判所など,それぞれの審級における裁判があります。

 しかし,最高裁判所における裁判のみが,他の審級の裁判所の場合と違って各裁判官の「意見」が表示され,他の裁判は,合議体(複数の裁判官で構成される裁判所のことです。)の場合に,かりに各裁判官間で意見が分かれたとしても,裁判においてはそのような意見の違いは表示されることはなく,結論しか表示されません。裁判所法11条は,最高裁について「裁判書には,各裁判官の意見を表示しなければならない」と規定し,他方,最高裁判所以外の場合には,合議体の裁判における評議の内容・各裁判官の意見については,秘密を保持することを要求しています(裁判所法75条2項後段)。このような評議の秘密の規定を設けた趣旨は,裁判官間における自由な意見の確保や裁判の権威を守るため等の点があげられます。

 よって,最高裁以外の裁判においては法廷の意見とならなかった個人的見解などは公表されないわけです。

 

●最高裁判所だけが異なる趣旨は?

 では,どうして最高裁判所だけ取り扱いが異なるのでしょうか。

 英米ではむしろ個々の裁判官が裁判の理由を述べるのが原則とされており,戦後米国の影響を受けて改正されたわが国の裁判制度も,最高裁判所だけは英米のそれにならって個別意見の表示を取り入れたとされています。そして,最高裁で意見を表示する趣旨は,衆議院議員総選挙の際に行われる最高裁判所裁判官の国民審査の資料とする点にあるとされているのです。

 

●各裁判官の「意見」の内容

 多数意見・法廷意見と同じ結論に至った少数意見として,さらに「補足意見」と「意見」とが示される場合があります。

 「補足意見」は,多数意見の理由・論理の補足の説明です。多数意見が,どうして,そのような判断となっているのかという理解が深まります。

 「意見」は,多数意見が採用した理由・論理とは異なる理由・論理を採りながらも,結論は多数意見と同じとなったものです。本件とは異なる事案において,考え方の参考となります。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.16更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 最高裁大法廷は,本日平成27年12月16日(水)午後,女性の再婚禁止期間規定(民法733条)と夫婦同姓規定(民法750条)をめぐる初の憲法判断を示しました。再婚禁止期間(現行は180日)については,100日以上を違憲と判断しました。他方,夫婦同姓規定は合憲(合憲10名,違憲5名)と判断しました。

 「初の憲法判断」と書きましたが,大法廷判決という意味であり,少なくとも再婚禁止期間については初めてではありません。最高裁小法廷は,かつてつぎのように判示しました(最判平成7年12月5日裁判所時報1160号2頁)。

 

 「民法733条の立法趣旨は,父性の推定の重複を回避し,父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあるから,国会が同条を改廃しないことが憲法の一義的な文言に違反しているとはいえず,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。」

 

 かつてブログにも書きましたが,再婚禁止期間については,かなり高い確率で違憲判決が下されるであろうと期待していましたので,穏当かなと思いました。

 しかし,夫婦が同じ氏を称することを義務づけている民法の規定は,憲法に違反していないかという点は,まさに今回が初めての憲法判断でしたので,注目しておりました。ただ,なかなか最高裁が違憲判決を下すのは,かなりハードルは高いであろうと予想しておりました。結果としては,この予想は的中してしまいましたが,少し意外であったのは,反対意見が5名おられたという点です。現在の最高裁はリベラルな印象を受けます。

 

 上記2つの規定については,女性差別に当たるとの,国際連合など国内外から批判が出されています。他方,規定を変えると,伝統的な家族観が壊れるとの意見もあるようです(とくに自由民主党にはそのような考えの人が多いように見受けられます。)。

 最高裁は平成25年9月5日,結婚していない男女の間に生まれた子どもへの遺産相続をめぐり,法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)を憲法違反であると判断し,長年続いた家族の法的な問題について,決着をつける姿勢を見せました。大法廷決定からわずか3か月後の平成25年12月5日,民法の一部を改正する法律が成立し,嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)。

 本日の大法廷判決によって,「現代日本の家族のかたち」の到達点が一応示されました。おそらく再婚禁止期間規定は早急に改正されることでしょう。夫婦同姓規定については,国会での議論が大いに期待されます。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.14更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 長崎県佐世保市出身の歌手・Tさんの5月発売の『ぬくもり』という曲が,国民的人気バンドMCの1992年のヒット曲『抱きしめたい』の歌詞に酷似していると指摘され,CDの出荷停止,自主回収に発展した問題が報道されています。

 『抱きしめたい』と『ぬくもり』の歌詞は「出会った日と同じように」と始まり,途中の「目を閉じれば 浮かんでくる あの日のままの二人」など多くの部分が一字一句同じで,同じような順番でつづられています。MCの「霧雨けむる 静かな夜」という箇所が,「霧雨の降る かがやく夜」となっているなど類似表現も多いです。

 CDの発売元が「著作権侵害に相当するものと判断」との認識を示し、商品の回収を決定したことを発表しましたが賢明な判断であったと思います。

 

 『ぬくもり』を作詞したのはTさんではなく作詞家のSさんであったようですが,Sさんは『抱きしめたい』を知らなかったそうです。

 歌の歌詞に用いられた表現が著作権を侵害しているのではないかという問題はしばしば起きます。比較的最近では,日本を代表するシンガーソングライターMNさんと人気漫画家MRさんとの間で訴訟沙汰となった事案がありました(第一審:東京地判平成20年12月26日,控訴審:和解成立により終結)。

 

 以下,東京地判平成20年12月26日(裁判所HPにおいてPDFファイルを閲覧できます。頁数は229頁もあります。)について,説明をしていきます。

 

●事案

MNさん作詞『約束の場所』の歌詞が,MRさんの漫画の台詞の著作権を侵害しているかどうかが争点となった事案

 

原告表現:「夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない」

 

被告表現:「時間は夢を裏切らない,夢も時間を裏切ってはならない。」

 

●結論

請求一部認容

●争点

条文 民法709条,723条,著作権法21条

1 著作権侵害,著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在の確認の訴えの利益の有無

2 名誉毀損の成否

①本件被告録画発言について,被告は,情報提供者にすぎないとして,不法行為責任を負わないか

②本件被告発言は,原告の名誉を毀損するか

③本件被告発言は,事実を摘示するものか,あるいは,意見ないし論評の表明に当たるか

④本件被告発言が事実を摘示するものである場合,その摘示事実の重要な部分につき真実であることの証明があるか

⑤本件被告発言が意見ないし論評の表明に当たる場合,その前提事実の重要な部分につき真実であることの証明があるか,意見ないし論評としての域を逸脱していないか

⑥本件被告発言が摘示した事実の重要な部分が真実であると信じる相当の理由が存在するか

⑦被告の名誉毀損行為によって原告が被った損害の額

⑧謝罪広告の要否及びその内容

 

●判決内容

<争点>

1 著作権侵害,著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在の確認の訴えの利益の有無

 MNさんは,MRさんがMNさんに対して著作権侵害,著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権を有していないことの確認を求めていました。

 しかし,MRさんが,弁論準備手続期日において上記各請求権を放棄する旨の意思表示(債務免除の意思表示)をしたことから,MNさんが,将来,MRさんから上記各請求権を行使されるおそれは存在しないとして,東京地判は不存在の確認の訴えの利益がないと判断し,著作権にかかわる争点については不適法な訴えとして却下しています(161頁)。

 

2 名誉毀損の成否

 MRさんの発言自体がMNさんの名誉を毀損するかどうかの争点について,東京地判はMRさんの名誉毀損行為を認めました

 テレビ番組でのMRさんの発言について,一般視聴者は,MNさんがMRさんの表現に依拠してMRさんの表現と似たフレーズを作ったという印象を抱くものであると認定し,東京地判は,MRさんの発言がMNさんの名誉を毀損したと判断しています(171頁以下)。

 MRさんの発言自体が名誉毀損に当たると判断したうえで,続いて違法性阻却の成否を検討していますが,この点について,東京地判は否定しました(193頁以下)。

 さらに,MRさんの発言が摘示した事実の重要な部分が真実であると信じる相当の理由が存在するかどうかというの点について,相当の理由があったとはいえないと判断しました(218頁以下)。

 結論として,慰謝料200万円と弁護士費用20万円が損害額として認定されました。ただし,謝罪広告は認めませんでした(220頁以下)。

 ところで,名誉毀損の成否の争点のなかでMRさんは,MNさんの歌詞とMRさんの台詞の酷似性を根拠に,MNさんがMRさんの表現に依拠しなければこうした歌詞は作成できないとして,依拠作成の事実について,摘示事実の重要な部分について真実であることの証明を試みています(210頁以下)。

 この部分について,東京地判は,

(1)MRさんの表現へのアクセスの容易性について

 漫画本や経済雑誌,CD-ROM,書籍,大学のホームページなどにMRさんのフレーズが掲載されていましたが,

・MNさんがそれらに接したとする直接の証拠はない

・これらの媒体の読者はかなり限定されている

・被告表現は,非常に短い文章であり,他の文章と区別して認識するのが困難な場合もある

として,MNさんが,MRさんのフレーズに接したものと推認することはできないと判断しました。

(2)MNさんのフレーズとMRさんのフレーズの類似性について

 MRさんは,MNさんの歌詞が,依拠しなければ創作できないほどにMRさんの台詞に酷似していると主張していることから,この点について検討しています(214頁以下)。

まず,共通点について,

「確かに,被告表現と原告表現とは,『時間』,『夢』の一方を主語に,他方を目的語とし,『裏切らない』という動詞を使用している点,第1文と第2文で,主語と目的語を入れ替えて,反復させている点で共通しており,上記共通部分は,両表現の特徴的な部分であるといえる。特に,被告表現及び原告表現において,『夢』や『時間』といった抽象的な言葉を主語及び目的とし,それらを入れ替えた2つの文章が,いずれも意味が通じるようになっており,この両表現の共通点は,ありふれたものとはいえず,大きな特徴があるといえる。」

としたうえで,相違点について,

「しかしながら,被告表現第2文においては,『裏切ってはならない』となっているのに対し,原告表現第2文においては,『決して裏切らない』となっており,この表現上の相違から受ける印象は相当程度異なる。つまり,『裏切ってはならない』と命令形の文章とすると,裏切ることが少なからずあるが,すなわち,実際には,努力しても夢が叶わないことが少なからずあるが,そのようなことはあってはならないという願望を表しているものと,通常,理解されるのに対し,『決して裏切らない』と断定した形の文章とすると,裏切ることはないこと,すなわち,努力すれば夢は必ず叶うことを表現しているものと,通常,理解されるのであって,両表現から観念される意味合いは相当異なるというべきである。」

さらに,

「また,被告表現及び原告表現とも相当短い文章であり,このように短い文章においては,『裏切ってはならない』と『決して裏切らない』という相違は,必ずしも小さなものではない。むしろ,被告表現第2文が,『裏切ってはならない』という表現となっている点も,被告表現の特徴的な部分であるといえ,このような特徴的な部分を原告表現が有していないこと,上記・のとおり,両表現から受ける意味合いが相当異なることからすると,両表現の相違は大きいということができる。」

と判断しました。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.12更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 昨日平成27年12月11日,プレジデント社からMOOK本『不倫したい男、離婚したい女が読む本』(弁護士ドットコム編著)が発売されました!

 当職も3本ほど記事を掲載していただきました。定価は本体815円+税となっています。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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