弁護士ブログ

2016.09.26更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


 先週9月22日に興行収入100億円を突破し,動員数770万人を超える大ヒットを記録している日本のアニメーション映画があります。その名は『君の名は。』。ニュース報道によりますと,日本の劇場アニメで興業収入が100億円を突破したのは,宮崎駿監督作品以外で初めてのことだそうです。「認識しないで評価するな」という言葉のとおり,まずはこの大ヒット作品を自分の目で確かめるべく映画館へ行きました(事務所近くに「TOHOシネマズ日本橋」といういい映画館があります。)。

 監督は,『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などの作品で知られる新海誠監督,音楽は若年層を中心に高い人気を誇るRADWIMPSが担当しています(劇中歌が効果的に流されており,非常に心地よかったです。)。そして,プロデューサーを『モテキ』『バケモノの子』『怒り』などのヒット作をプロデュースしてきた川村元気さんが務めています。さらに主人公の一人である立花瀧くんのCVをあてた神木隆之介くんがいれば大ヒット間違いありません(神木くんは『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』にも出演しています。本作の女役の演技も素晴らしかったです。)。

 8月26日に公開されてから約1ヶ月となりますが,映画館はかなり盛況の様子であり,もはや社会現状といってもいいでしょう。劇場に入るとほぼ満席となっており,観ている層も10代20代の若年層だけではなく,老若男女あらゆる世代がおられました(ちなみに,当職は中年層の男性として一人で観に行きました。)。

 新海誠作品といえば,その映像美です。『君の名は。』においても存分に発揮されています。「空」「雲」「光」「闇」「水」「山」「湖」「彗星」などの自然はもちろん,「街」「駅」「電車」「学校」「公園」「カフェ」などの建築物等の描かれ方も緻密で繊細でした。単純に理屈なく「美しい」「綺麗だな」と感じました。また,東京の聖地「新宿」「代々木」「信濃町」「四ツ谷」などはあの場所かなと思いをはせましたし,モデルとなった飛騨高山や諏訪湖などはGWに行ったばかりであったので,感慨深いものがありました。
 ただ,これまでの新海誠作品と比べてもっとも強く感じた点は,「ハッピーエンドに対する素直さ」です。例えば『秒速5センチメートル』におけるなんともほろ苦い結末(幼いころからお互いを思い合っていた男女が,成長とともに様々な差を埋められなくなり,男は現実に敗れ過去の女の幻想にすがり,女は他の男と結婚する等のエピソード)とは,『君の名は。』の結末との間でかなりのギャップがあります。ラストシーンにおける,すれ違う二人がお互いに気づくか気づかないかの結末がそのことを象徴しています(当職もラスト間際に「気付け!」「気付いてくれ!」と素直に念じていました。)。主人公の瀧くんも,もう1人の主人公・宮水三葉ちゃんも,思考を止めることなく智慧をしぼり,運命に抗い,最後の最後まで絶対に諦めない姿勢を貫いていました。
 これまでの新海誠作品には「現実に対する諦観」というものが見え隠れしていました(ここが好き嫌いの分かれるところでしょう。ちなみに,当職はハッピーエンドの方が好きです。まぁ実際は結構ブラックな面も否めませんが)。もちろん,人間はそんなに美しくものではないし,美しい面もあれば醜い面もあります。綺麗ごとばかり並べ立てても胡散臭く感じてしまうかもしれません。しかし,だからといってそこで諦めてしまうのか,「それでも」人間には無限の可能性があり,美しいものであると信じてみたい。新海監督は徹して美しさを描き切ることによって,本作は,人間が素直に感じることのできる「希望」を体現していました。『機動戦士ガンダムUC』に登場するマリーダ・クルスの台詞に「これからどんな現実に直面しても,自分を見失うな“それでも”と言い続けろ」というものがありますが,映画を見ながらマリーダの台詞を思い起こしていました。

 現代社会は閉塞感があるなどと言われて久しいですが,若年層はやはり「希望」を渇望しているのではないでしょうか。そして,若年層だけでなく,あらゆる層の人たちが「希望」を望んでいるはずです。『君の名は。』は1200年周期で訪れるティアマト彗星による災害を扱っています(劇中では1度村が滅びました。)。5年前の東日本大震災,今年4月の熊本地震,その他台風による被害など,我々は1000年の1度の災害の当たり年に生きています。「せめて映画の中くらい希望を見せてほしい」との衆望を『君の名は。』は具現化しているように思います。


 ちなみに,三葉ちゃんが通っていた糸守高校には,別の新海誠作品である『言の葉の庭』に出ていたユキノ先生が登場していました(ちなみにクレジットには「ユキちゃん先生」と記載されていました。)。この時の授業で,カタワレ時(この世ならざるものに出会う時間,黄昏のこと。若干ネタバレとなりますが,「カタワレ時」であったからこそ時空を超えて二人は出会えたのでしょう。劇中のシーンの中でも一番いいシーンの一つです。)の話がされています。
 ユキちゃん先生は,万葉集に出てくる
 「誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」(万葉集10巻2240番)
という句を黒板に書き,黄昏の語源について教えていました。黄昏の語源である「誰そ彼」は,「彼は誰だ?」→「君の名は?」と変換でき,作品を象徴するものとなっています(ラストシーンでは「君の名前は?」と言っていました。)。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.09.20更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


 「週刊少年ジャンプ」を代表する人気漫画で「こち亀」の愛称で親しまれる「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が先週末の9月17日に最終回を迎えました。しかも,「週刊少年ジャンプ」と単行本200巻とではエンディングが異なるという粋なはからいもありました。17日発売当日の書店には「週刊少年ジャンプ」と単行本200巻が平積みされており,当職も,多くの人たちが手に触れ,レジに並んでいく光景を目の当たりにしました(かくいう当職も購入するかどうか迷った挙句,結局購入しませんでした。秋本先生,申し訳ありません。)。

 ちなみに,上記「週刊少年ジャンプ」の表紙を飾ったのは最終回を迎えた「こち亀」でしたが,これは「週刊少年ジャンプ」のはからいとしては極めて異例なことです。「週刊少年ジャンプ」は最終回を迎えた作品を表紙にすることはないのです(例外は「SLAM DUNK」だけだと思います。)。これは,「週刊少年ジャンプ」の理念として,常に「これからの作品」を大切にしたいというものがあるからです。「週刊少年ジャンプ」は,いつでも「未来」に向かって作られているのです。


 「こち亀」の連載終了は,作者の秋本治先生が今月3日に神田明神において「こち亀絵巻」の奉納を済まされた後,自ら発表されるという異例の形でした。ネットニュースでその報に接した時は,驚きを禁じ得ませんでした。「こち亀」は1話完結型の漫画ですから,その気になればいつでも終わらせることができる類の漫画です。秋本先生の中では「200巻」を一つの節目と考えておられたのでしょう。実際単行本の厚さが200巻に近づくにしたがって厚くなっています。
 何はともあれ,秋本先生,本当にお疲れ様でした。一ファンとして感謝申し上げます。


 当職は,小学校低学年ころから「週刊少年ジャンプ」を読み始め(最初「ジャンプ」に触れたのは廃品回収の時でした。),綺羅星のような漫画群の一つに「こち亀」がありました。90年代には653万部の歴代最高部数を達成していますが,係る「週刊少年ジャンプ黄金時代」を支えたのも「こち亀」でした。

 「こち亀」の最も驚くべき点は,「連載が1回も休載せずに40年も続いたこと」ではないでしょうか(作者が取材や体調不良のために休載することが通常のなかで,これは驚異的です。しかも秋本先生は「こち亀」以外にも連載をお持ちです。)。「こち亀」は当初ギャグ漫画として開始されました。一般的に「ギャグ漫画は短命」といわれているところですが,上記の事実は,「こち亀」が単なるギャグ漫画ではないことの証左といえましょう。

 「こち亀」の魅力といえば主人公である両さんこと両津勘吉ですが,連載当時の両さんは,天丼を盗み食いした猫に銃を乱射したり,道を聞く民間人に対し怒って追い返したりする乱暴者の側面もありました(そういえば,「元祖天才バカボン」に登場する本官さんも銃を乱射していました。現在では法令遵守の観点から描くことは難しいでしょう。)。
 しかし,現在の両さんのキャラは,乱暴者というイメージはありません。両さんは江戸っ子よろしく困っている人を助けたり,曲がったことは大嫌いで筋を通します。人を容姿などで差別しないし,下町の人々ともオープンに交流しています。しばしば掲載されていた「人情噺」は結構泣ける話が多かったですし,とくに両さんの子ども時代のノスタルジックなエピソードは,「昭和の東京の郷土史」という深みさえ与えています(ちなみに,当職的には両さんの欲望の赴くままに生命力豊かな姿が好きでしたし,はちゃめちゃで時代を少し先取るエピソードが好きでした。)。

 両さんの主人公としての魅力に加え,「こち亀」には「マニアックな情報が半端ない量」ありました(小ネタの数々は少年の心を鷲掴みしました。)。たとえば,両さんの後輩である中川圭一は自動車のコレクターのため,初期は迫力あるカーチェイスも当たり前で,描写も緻密でした(この点だけとってみても「こち亀」は単なるギャグ漫画ではありません。)。飛行機や戦車など兵器やオタク心を刺激する数々のメカには心躍りました。
 秋本先生のマニアックさは,やがて「ホビー」の分野に向けられていきました。サバイバルゲームなどアウトドアから切手やフィギュア,そしてゲームやパソコンといったインドアに移行し,果ては「艦これ」などの紹介もするにいたりました(新しすぎます。秋本先生のアンテナは敏感ですね。)。
 情報量の多さは,数々のマニアックなサブキャラクターを登場させました。シリアスながら抜けたところもある「星 逃田(ほし とうでん)」や,世界の戦場を渡り歩いたために日常でも重火器を持ち歩く「ボルボ西郷」,超エリートだが顔の怖い「凄苦 残念(すごく ざんねん,旧名・法条正義)」などなど。これら濃い顔ぶれが「たまに出る」のに記憶には残っています。キャラの層がぶ厚すぎます。
さらに,秋本先生の生み出したキャラクターの中でも「女性キャラクターの充実」という点を見逃すことができません(比較的強めの女性が多いような気がします。)。「マリアこと麻里 愛」(登場時は男性でしたが,後に女性となりました。)とや「磯鷲 早矢(いそわし はや)」らのヒロインたちは女性キャラに活躍の場を増やしましたし,両さんの新たな魅力も引き出し,「こち亀」にさらなる奥行きを加えました。

 そうした方向の到達点の一つが「擬宝珠(ぎぼし)家」の人々といえるでしょう。両さんと結婚話まで持ち上がった「纏(まとい)」,その妹で幼稚園児の「檸檬(れもん)」,祖母で一家を束ねる「夏春都(げぱると)」は個性派ぞろい。自由気ままな独身生活を続ける両さんが疑似的とはいえますがいわゆる「家族ドラマ」の中に置かれることによって,何でもありの「こち亀」の幅をさらに広げていきました。


 「こち亀」がただギャグだけに徹していたなら,「週刊少年ジャンプ」という苛烈な戦場において,ここまでの長期連載を勝ち取ることは難しかったような気がします。非日常を描き切ることで何ともいえない爽快感が得られましたし,豊富な雑学ネタ,ハイテクやホビー,人情噺や家族といった要素を貪欲に取り込むことによって,秋本先生は「長期連載に耐え得るシステム」を構築されていかれたと思います。40年もの歳月,ゆうに親子2世代を超えた支持を勝ち得たことはまさに漫画界の金字塔といえます。
 ちなみに,両さんは有給を消費されるとのことですが,おそらく有給は残っておらず,すでに使い果たしていることでしょう。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.08.22更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


 平和の祭典・リオデジャネイロオリンピックは8月21日夜(日本時間22日午前),マラカナン競技場で閉会式を迎えました。
 約10分間にわたる,次期開催都市の東京をPRする映像やパフォーマンスでは,大トリに安倍晋三首相がサプライズで登場しました。安倍首相は,「クールジャパン」の代表として世界でも人気のキャラクター・スーパーマリオに扮して登場しました。マリオに「変身」した安倍首相が,国会から車やドリルを使って,日本から見て地球の裏側にあるリオに向かおうとする様子が,映像化されました(ネット上では「どうしてポケモンではなかったのか」などと話題となっていますが,リオ(Rio)だけにマリオ(MARIO)は外せなかったのでしょう。)。


 平和の祭典の閉会式の日が,「対馬丸事件」の日であることは,単なる偶然ではないと思います。いまから72年前の1944年(昭和19年)8月22日,沖縄からの疎開学童約800人を乗せた日本の貨物船「対馬丸」が,長崎に向かう途中に,米国の潜水艦「ボーフィン号」によって撃沈されました。
 当時,対馬丸には「学童を含め約1800人が乗っていた」とされていますが,そのうち生存者はわずか280人程度,うち学童疎開者は60人ほどでした。
 乗船していた児童のほとんどが命を落とした「対馬丸事件」は,いまなお語り継がれている「戦争の悲劇」のひとつです。『対馬丸―さようなら沖縄』というアニメーション作品もありますので,興味をもたれた方は探してみてください。
 命をつないだ人の中には,米国の潜水艦の魚雷が命中した「対馬丸」から海に飛び込んだ昭和19年8月22日を「もう一つの誕生日」と心に刻む方もおられます。命をつなぐことができたことに対する感謝の念でしょう。その一方で,犠牲者の親きょうだいと顔を合わせる慰霊祭への参列を頑として避けてきた方もおられます。「助かった後ろめたさは,一生消えないんだ」という苦悶が続くのでしょう。


 人間は「生きている」と思いがちですが,傲慢かもしれません。当職は「生かされている」のではないかと考えています。人間は生老病死から逃れることはできませんが,「価値ある人生」を送るべく精進したいものです。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.03.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 なぜか女性ファンを獲得する(理由は分からなくはないですが)など大ブームを巻き起こしているテレビ東京のアニメ「おそ松さん」(月曜深夜1時35分)の最終回(第25話)が深夜に放送されました。最終回の内容は,松野家が謎の“センバツ”大会に挑む…という展開でした(パロディ満載で拾うのが大変でした。)。

 その視聴率がなんと3.0%(ビデオリサーチ調べ,関東地区)!これは番組自己最高記録であったそうです。その視聴者のひとりに当職も含まれるわけですが,まさに有終の美を飾ったといえましょう。

 

 「おそ松さん」は,ギャグ漫画の巨匠・赤塚不二夫先生の生誕80周年を記念し,赤塚先生の代表作のひとつである「おそ松くん」を27年ぶりにアニメ化したものです。六つ子が成長し,大人になった姿(二ートで童貞という設定でした。)を描きました。

 「おそ松さん」自体は昨年10月にスタートしており,イヤミやチビ太,とと子,デカパン,ハタ坊(ミスターフラッグ),ダヨーン(THE怪人)など,おなじみのキャラクターも続々と登場しました。原作のもつ型破りな魅力やナンセンスを生かしつつ,深夜帯ならではのブラックユーモアや下ネタ,時事ネタ,やりすぎ感のあるパロディを盛り込み,視聴者の笑いを誘ってくれました。

 当職の分析では,人気を誘った理由のひとつとして,六つ子に個性を与えた点があげられると思います。とくにCVをあてたその豪華な声優陣です。おそ松役を櫻井孝宏さん,カラ松役を中村悠一さん,チョロ松役を神谷浩史さん,一松役を福山潤さん,十四松役を小野大輔さん,トド松役を入野自由さんと,それぞれがメインを張れるいわゆるイケメン人気声優が担当しました(実は,脇役の声優陣もかなり豪華でして,「プチ銀河声優伝説」といっても過言ではありません。)。

 キャラ付けもそれぞれ兄弟の何番目かによって「それらしい」ものとなっており(当職もしっかり覚えました。),アニメーション技術の向上によりキャラの書き分けもできますから(赤塚先生の原作を見ますと,単にコピペしているコマも結構多いことが分かります。),六つ子の中の1人に心を奪われ「推し松」と呼んで応援する女性が続出したのもうなづけます。

 

 番組終了によって,月曜深夜の楽しみがひとつ減ることとなりました(結構気に入っていた第2クールOP・A応Pの「全力バタンキュー」も聴けなくなります。)。意味もなく訳もなくただただ笑い続けることのできることは本当に幸福なことであると実感します。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.01.26更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 一昨日行われた大相撲初場所において,琴奨菊関が悲願の初優勝を果たしました。日本出身の日本人力士としては元大関・栃東関以来10年ぶりとなる快挙でした。本当におめでとうございます。

 琴奨菊関のこれまでの道のりは決して平らな道ではありませんでした。何度も怪我に泣かされ,大関陥落の危機(いわゆる「カド番」)も5度を数えます。他方で,今場所は「10年ぶりの日本出身力士の優勝か?!」と囁かれていましたから,プレッシャーは半端なかったでしょう。

 しかし,そんな苦闘の過去や重圧をはねのけて,賜杯をつかんだわけです。

 もはや感動しかありません。

 琴奨菊関が2011年9月,大関昇進の伝達式で述べた口上が,「万里一空(万理一空)の境地を求めて日々努力,精進いたします」でした。

 「万里一空」という言葉は,もともとは,宮本武蔵の『五輪書』に登場する「山水三千世界を万里一空に入れ,満天地とも攬る」という一節に由来します。「世界はどこまでいっても空は一つ」「すべてのものは一つの世界に留まっている」という考え方です。「動揺せず,常に冷静な気持ちで事に当たる」「一つの目標に向かって精進する」などの意味として解釈されます。

 琴奨菊はこの言葉の意味について,「すべての理(ことわり)は一つの空(くう)に帰する。どんな努力も,目指す先は一つ。目標を見失うことなく努力する」と説明されています。このことから,一部報道では五輪書で書かれている「万里一空」(「り」が「里」)ではなく,「万理一空」(「り」が「理」)と表記しているものが多いのです。

 この言葉通り,琴奨菊関は,今場所,自分の目指す相撲に徹しました。低く,鋭い立ち合いで相手の懐に入り,得意のがぶり寄りで,アッという間に土俵際へ追い込む。反撃の隙すら与えない一気呵成の攻めが光りました。

 心もぶれはありませんでした。11日目に横綱・白鵬関を倒した後,「自分を信じてできた」とインタビューに答え,残りの土俵も「ぶれたら終わり」と戒めておられました。

 琴奨菊関は,大阪府立体育会館で開催される春場所(3月13日初日)で,初の綱取りに挑みます。32歳を目前にして「心技体」が揃った琴奨菊関の活躍を祈ります。 

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.25更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日12月25日は,クリスマスです!もはや日本の冬の風物詩。宗教的意味合いは薄れ,習俗的行事となりました。街はLEDのイルミネーションの電飾であふれかえっています。今日をご家族や大切な人と過ごされる方々も多いでしょう。そんな日を天空から祝福するかように,本日は38年ぶりの満月のクリスマスだそうです!

 当職は,ビートたけしさんが歌った『嘲笑』(作詞:北野武 作曲:玉置浩二)という曲が好きです。とくに1番の歌詞が好きです。

 

【以下,引用始め】

星を見るのが好きだ 夜空を見て 考えるのが 何より 楽しい

百年前の人 千年前の人 一万年前の人 百万年前の人

いろんな人が見た星と ぼくらが今見る星と ほとんど変わりがない それがうれしい

【以下,引用終わり】

 

 忙しい日常に忙殺されていてはいけない。当職は「詩心」を忘れないように心がけています。

 

 さて,本日満月がもっとも大きくなるのは,日本時間の20時11分ころだそうです。満月を楽しむにはベストなタイミングといえましょう。また,今回の満月のクリスマスを逃すと,次回の満月のクリスマスは,なんと2034年だそうです。ちなみに,前回の満月のクリスマスは1977年(昭和52年)でした。

 

 1977年(昭和52年)といえば,「遠い昔,はるか彼方の銀河系で…(A long time ago in a galaxy far, far away....)」で始まるスター・ウォーズが公開された年です。また,当職は,この年にテレビ放送された『大鉄人17』(だいてつじんワンセブン)の大ファンです。『大鉄人17』は,石森章太郎(石ノ森章太郎先生)原作の毎日放送・東映製作の特撮テレビ番組であり,作中に登場する架空の巨大ロボットの名称です(全35話あります。たまにDVDを鑑賞するのですが,隣の妻は呆れています。)。当時発売された『DX超合金・大鉄人17』は,劇中に登場する17(ワンセブン)の変形機構をかなり忠実に再現しており,超合金シリーズ史上最多の販売数を記録するメガヒットとなったことはあまりに有名です(自宅に置いてある超合金をたまに変形させて遊んでいます。)。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.21更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 1977年(昭和52年)に公開されるや,世界中の人々(そのなかにはもちろん当職も含まれます。熊本の田舎でコカ・コーラのビンの王冠を収集していました。)に多大な影響を与えた『スター・ウォーズ』。2005年(平成17年)公開の『スター・ウォーズ エピソード3  シスの復讐』以来10年ぶりとなる新たな3部作の第1弾・『スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒』が先週末12月18日(金)から全国一斉公開されました。『エピソード6 ジェダイの帰還』(この呼び方は往年のファンである当職にはいまだ違和感があります。やはり公開時の『ジェダイの復讐』がしっくりきます。もちろん,映画の内容からは『復讐』より『帰還』のほうがよりふさわしいことは理解できるのですが。)から30年後の世界を舞台にした物語が,ヒロインのレイをはじめとする新キャラクターたちや,ハリソン・フォード,マーク・ハミルといった旧3部作のキャストとともに描かれる内容となっているようです。

 ニュース報道等でもとりあげられておりましたが,熱狂的に受け入れられているようです。ほとぼりがさめるころになって,妻(妻も『スター・ウォーズ』シリーズの大ファンです。)と一緒に鑑賞しに行きたいと思います。

 

 ファンの間では,『スター・ウォーズ』を見る際どの順番で見たらよいかという論争があります。当職は,断然「公開順で見る派」です。時系列にしたがってエピソード1から見る派(いわば「時系列で見る派」です。)もおられるようですが,当職的にはいただけません(余談ですが,かつて,『ゴッドファーザー』3部作を時系列に並べ替えた企画モノのビデオがあり,レンタルしたことがありました。見終わった後,「最悪。どうしてこんなことをしたのか。時間と金を返せ」と憤った記憶があります。)。

 まぁ好みは分かれるものですが,やはりどちらから見ても面白いことにかわりはありません。

 

 ただ,少し驚いた内容の報道がありました。先週末の12月19日及び20日の全国映画動員ランキングは,『映画妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』(全国358館)が初登場で首位を飾り,第2位は『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(全国371館)となったそうです。恐るべし『妖怪ウォッチ』・・・。ひょっとしたら,このことを予言し,"I have a bad feeling about this."と感じていた方もおられたかもしれません(この方は,フォースの使い手でしょう。)。

 まぁ,とてもかくても,「フォースと共にあらんことを」 

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.14更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 長崎県佐世保市出身の歌手・Tさんの5月発売の『ぬくもり』という曲が,国民的人気バンドMCの1992年のヒット曲『抱きしめたい』の歌詞に酷似していると指摘され,CDの出荷停止,自主回収に発展した問題が報道されています。

 『抱きしめたい』と『ぬくもり』の歌詞は「出会った日と同じように」と始まり,途中の「目を閉じれば 浮かんでくる あの日のままの二人」など多くの部分が一字一句同じで,同じような順番でつづられています。MCの「霧雨けむる 静かな夜」という箇所が,「霧雨の降る かがやく夜」となっているなど類似表現も多いです。

 CDの発売元が「著作権侵害に相当するものと判断」との認識を示し、商品の回収を決定したことを発表しましたが賢明な判断であったと思います。

 

 『ぬくもり』を作詞したのはTさんではなく作詞家のSさんであったようですが,Sさんは『抱きしめたい』を知らなかったそうです。

 歌の歌詞に用いられた表現が著作権を侵害しているのではないかという問題はしばしば起きます。比較的最近では,日本を代表するシンガーソングライターMNさんと人気漫画家MRさんとの間で訴訟沙汰となった事案がありました(第一審:東京地判平成20年12月26日,控訴審:和解成立により終結)。

 

 以下,東京地判平成20年12月26日(裁判所HPにおいてPDFファイルを閲覧できます。頁数は229頁もあります。)について,説明をしていきます。

 

●事案

MNさん作詞『約束の場所』の歌詞が,MRさんの漫画の台詞の著作権を侵害しているかどうかが争点となった事案

 

原告表現:「夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない」

 

被告表現:「時間は夢を裏切らない,夢も時間を裏切ってはならない。」

 

●結論

請求一部認容

●争点

条文 民法709条,723条,著作権法21条

1 著作権侵害,著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在の確認の訴えの利益の有無

2 名誉毀損の成否

①本件被告録画発言について,被告は,情報提供者にすぎないとして,不法行為責任を負わないか

②本件被告発言は,原告の名誉を毀損するか

③本件被告発言は,事実を摘示するものか,あるいは,意見ないし論評の表明に当たるか

④本件被告発言が事実を摘示するものである場合,その摘示事実の重要な部分につき真実であることの証明があるか

⑤本件被告発言が意見ないし論評の表明に当たる場合,その前提事実の重要な部分につき真実であることの証明があるか,意見ないし論評としての域を逸脱していないか

⑥本件被告発言が摘示した事実の重要な部分が真実であると信じる相当の理由が存在するか

⑦被告の名誉毀損行為によって原告が被った損害の額

⑧謝罪広告の要否及びその内容

 

●判決内容

<争点>

1 著作権侵害,著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権の不存在の確認の訴えの利益の有無

 MNさんは,MRさんがMNさんに対して著作権侵害,著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求権を有していないことの確認を求めていました。

 しかし,MRさんが,弁論準備手続期日において上記各請求権を放棄する旨の意思表示(債務免除の意思表示)をしたことから,MNさんが,将来,MRさんから上記各請求権を行使されるおそれは存在しないとして,東京地判は不存在の確認の訴えの利益がないと判断し,著作権にかかわる争点については不適法な訴えとして却下しています(161頁)。

 

2 名誉毀損の成否

 MRさんの発言自体がMNさんの名誉を毀損するかどうかの争点について,東京地判はMRさんの名誉毀損行為を認めました

 テレビ番組でのMRさんの発言について,一般視聴者は,MNさんがMRさんの表現に依拠してMRさんの表現と似たフレーズを作ったという印象を抱くものであると認定し,東京地判は,MRさんの発言がMNさんの名誉を毀損したと判断しています(171頁以下)。

 MRさんの発言自体が名誉毀損に当たると判断したうえで,続いて違法性阻却の成否を検討していますが,この点について,東京地判は否定しました(193頁以下)。

 さらに,MRさんの発言が摘示した事実の重要な部分が真実であると信じる相当の理由が存在するかどうかというの点について,相当の理由があったとはいえないと判断しました(218頁以下)。

 結論として,慰謝料200万円と弁護士費用20万円が損害額として認定されました。ただし,謝罪広告は認めませんでした(220頁以下)。

 ところで,名誉毀損の成否の争点のなかでMRさんは,MNさんの歌詞とMRさんの台詞の酷似性を根拠に,MNさんがMRさんの表現に依拠しなければこうした歌詞は作成できないとして,依拠作成の事実について,摘示事実の重要な部分について真実であることの証明を試みています(210頁以下)。

 この部分について,東京地判は,

(1)MRさんの表現へのアクセスの容易性について

 漫画本や経済雑誌,CD-ROM,書籍,大学のホームページなどにMRさんのフレーズが掲載されていましたが,

・MNさんがそれらに接したとする直接の証拠はない

・これらの媒体の読者はかなり限定されている

・被告表現は,非常に短い文章であり,他の文章と区別して認識するのが困難な場合もある

として,MNさんが,MRさんのフレーズに接したものと推認することはできないと判断しました。

(2)MNさんのフレーズとMRさんのフレーズの類似性について

 MRさんは,MNさんの歌詞が,依拠しなければ創作できないほどにMRさんの台詞に酷似していると主張していることから,この点について検討しています(214頁以下)。

まず,共通点について,

「確かに,被告表現と原告表現とは,『時間』,『夢』の一方を主語に,他方を目的語とし,『裏切らない』という動詞を使用している点,第1文と第2文で,主語と目的語を入れ替えて,反復させている点で共通しており,上記共通部分は,両表現の特徴的な部分であるといえる。特に,被告表現及び原告表現において,『夢』や『時間』といった抽象的な言葉を主語及び目的とし,それらを入れ替えた2つの文章が,いずれも意味が通じるようになっており,この両表現の共通点は,ありふれたものとはいえず,大きな特徴があるといえる。」

としたうえで,相違点について,

「しかしながら,被告表現第2文においては,『裏切ってはならない』となっているのに対し,原告表現第2文においては,『決して裏切らない』となっており,この表現上の相違から受ける印象は相当程度異なる。つまり,『裏切ってはならない』と命令形の文章とすると,裏切ることが少なからずあるが,すなわち,実際には,努力しても夢が叶わないことが少なからずあるが,そのようなことはあってはならないという願望を表しているものと,通常,理解されるのに対し,『決して裏切らない』と断定した形の文章とすると,裏切ることはないこと,すなわち,努力すれば夢は必ず叶うことを表現しているものと,通常,理解されるのであって,両表現から観念される意味合いは相当異なるというべきである。」

さらに,

「また,被告表現及び原告表現とも相当短い文章であり,このように短い文章においては,『裏切ってはならない』と『決して裏切らない』という相違は,必ずしも小さなものではない。むしろ,被告表現第2文が,『裏切ってはならない』という表現となっている点も,被告表現の特徴的な部分であるといえ,このような特徴的な部分を原告表現が有していないこと,上記・のとおり,両表現から受ける意味合いが相当異なることからすると,両表現の相違は大きいということができる。」

と判断しました。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.09更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 昨日平成27年12月8日(火),当職は妻を連れて,東京国際フォーラム・ホールAにて開催された「KOJI TAMAKI PREMIUM SYMPHONIC CONCERT -THE FINAL-」を観覧してまいりました。

 通常,安全地帯や玉置浩二さんのコンサートは「ホールC」で行われることが多く,「ホールA」は個人的に初めてでしたが,東京フィルハーモニー交響楽団(指揮を務められた大友直人さんはまさにダンディーでした。しびれました。)の演奏を聴くには大変素晴らしい音響で,玉置さんのマイクなしの地声も本当に響いていました。

 メジャーデビュー33年目にして実現した,玉置さんとクラシックの共演。玉置さんの音楽人生を振り返るような楽曲がセットリストされており,ソロコンサートはもちろん,安全地帯としてのコンサートでもなかなか同時には聴くことのできない珠玉の選曲でした。とくに,「夢のつづき」「あなたに」は,往年の名曲が現在の玉置さんの歌唱で蘇っており,大変満足しました(当職個人の意見ですが。玉置さんの歌唱は現在が一番うまいと思います。)。

 最終公演であったこともあり,おまけもあったような気がしました。一足早いクリスマスプレゼントをいただいた気がします。玉置さん!本当にありがとうございました。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.12.07更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

●125年前に起きたエルトゥールル号事件

 先週末の平成27年12月5日(土)から日本・トルコ合作映画『海難1890』(田中光敏監督)が公開されています。この映画は,125年前に起きたトルコ(当時はオスマン帝国でした。)の軍艦「エルトゥールル号」の遭難事故を題材としています。トルコが大変親日的な理由の1つには,この未曾有の海難事故において,当時の日本人が身の危険を顧みず,猛烈な台風の中,トルコ乗組員を必死で救助したことがあると思います。

 

 親善航海のため寄港した軍艦エルトゥールル号は1890年9月16日夜半,帰航の途中,和歌山県串本町の紀伊大島沖で,猛烈な台風のために岩礁に激突,蒸気機関が爆発し二つに割れ沈没しました。

 この海難事故で,艦長以下587人が殉職し,紀伊大島の島民たちの必死の救助で助かったのは,69人に過ぎませんでした。しかし,この献身的な救助活動は,トルコ国民に直ちに伝えられ,今でも時代を超えて語り継がれています。

 

●95年後にトルコが「恩返し」

 この両国の「絆の物語」には続きがあります。イラン・イラク戦争で緊迫する状況の1985年,イラン在住の日本人200人以上が脱出できず途方に暮れていました。同年3月17日には,時のイラク大統領サダム・フセインが「48時間」という期限を切って「イラン上空無差別撃墜宣言」を行いました。

 世界各国は自国救援機をイランに派遣したのですが,日本は自衛隊機もいまだ法律的に直接派遣できず,民間航空会社も危険を理由に救援チャーター機にしり込みしたのでした。テヘラン空港に駆け付けた在留邦人はパニック状態になったのは想像に難くありません。

 その時,在留邦人の窮状を救ったのはトルコ政府でした。2機のトルコ航空機をテヘランへ派遣することを申し出て,215人の在留邦人を無事に救出することができたのです。当時イランにいたトルコ人は,日本人よりはるかに多い500人以上で,彼らは陸路を車で脱出するしかなかったといいます。

 在留邦人たちの感謝の言葉に対して,トルコ政府ははっきりと答えたといいます。

 「私たちは,95年前のエルトゥールル号の恩返しをしただけです」

 先に紹介した映画『海難1890』はこの2つの友情と絆を描いた感動の物語となっているようです。

 

●歴史への眼を磨け

 当職が歴史好きであることは,しばしば本ブログでも触れていますし,「愚者は経験に学び,賢者は歴史に学ぶ」というドイツの名宰相であるオットー・ビスマルクの箴言もしばしば引用させていただいております。

 たとえば,現在,ロシアとトルコが仲違いしておりますが,両国には500年もの戦争の歴史があります。仲が悪いのは今に始まったことではないのです。

 「歴史への眼を磨け」とかつて師匠にお言葉をいただきました。当職は正視眼で歴史を見る訓練を忘れないようにしています。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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