弁護士ブログ

2017.11.22更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

「なぜ読書をするのか?」

この問いに明確に回答できる人はどれくらいいるでしょうか。一つ確実に言えることは,「読書の喜び」を知っている人と知らない人とでは,人生の深さ,大きさが,まるっきり違ってしまうということではないでしょうか。

一冊の良書と出会うことは,偉大な教師に巡り会ったのと同じといえます。また,読書は,旅のようなものです。東へ西へ,南へ北へ,見知らぬ人たち,見知らぬ風景に出会えます。しかも,時間や空間も超えていきます。

人にも善人・悪人がいるのと同じように,本にも良書・悪書があります。良書を読むことは,自分自身の中の命を啓発することになります。古典の良書は,古くなりません。いつまでも新しく,未来にも残ることでしょう。

米国の思想家であるラルフ・ワルド・エマーソン(1803年~1882年)は「出版されて一年もしていない本など読むな」と言っています。出版されて何年,何百年たっても読み継がれている本は名作,良書と思っていいでしょう。

先日読了した『漫画 君たちはどう生きるか』(出版社:マガジンハウス)も良書の一つです。原作は1937年(昭和12年)刊行,80年以上も読み継がれている歴史的名著です(岩波新書でも発刊されており,奥付には「2017年11月15日 第77刷」とあります。)。『ケシゴムライフ』『昼間のパパは光ってる』で知られる羽賀翔一さんによって,初めて漫画化されました。
   
『君たちはどう生きるか』は,児童文学者の吉野源三郎による児童小説なのですが,児童小説と言ってあなどるなかれ。読むたびに「気づき」や「心の揺さぶり」があります(今,あらためて読み直していますが,唸りっぱなしです。)。

【あらすじ】
旧制中学二年(15歳)の主人公である本田潤一ことコペル君は,学業優秀でスポーツも卒なくこなす少年です。いたずらがたまにキズで級長にこそなれないのですが,人望がないわけではありません。父親は(亡くなるまで)銀行の重役で,家には女中が1人います。同級生には実業家や大学教授,医者の息子が多く,クラスの話題はスキー場や映画館,銀座や避暑地にも及びます。コペル君は友人たちと学校生活を送るなかで,さまざまな出来事を経験し,観察します。各章のあとに続いて,その日の話を聞いた叔父さんがコペル君に書いたノートという体裁で,「ものの見方」や社会の「構造」,「関係性」といったテーマが語られる,という構成になっています。


『漫画 君たちはどう生きるか』では,コペル君が体験する出来事が漫画で描かれ,それを見聞きした叔父さんのノートを文章で読むことができる仕組みになっています。読者はコペル君の体験を視覚的に理解したうえで,叔父さんが紡ぐ本質をついた言葉に触れることができるというわけです。当職も原作を一度読んだうえで漫画版に触れるに至りましたが,なぜ80年もの間この手法が用いられなかったのか不思議になります。 随所に羽賀さんの原作とは異なるアレンジがあるのですが,それもまた味があり好感がもてました。

原作『君たちはどう生きるか』の最初の読後感は「子どものころに,こんな大人がいたらよかったなぁ」というコペル君への羨望もありましたが,年齢のせいでしょうか,それ以上に「叔父さんのような大人にならなきゃな」と思いました。

叔父さんは,コペル君を少年として侮らず,一人の人間として扱っています。叔父さんの紡ぐ言葉には真理が含まれています。15歳のコペル君が叔父さんの言葉のすべてを理解しているかどうかは分かりませんが,確実に成長し「立派な人間」に近づいています。

「人間は過去を変えることはできないが,過去の意味を変えることはできる」という名言があります。『漫画 君たちはどう生きるか』は,読むたびに「気づき」や「心の揺さぶり」がある『君たちはどう生きるか』をより普及させることとなるでしょう。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.06.24更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

昨日(平成27年6月23日)は,沖縄「慰霊の日」でした。この「慰霊の日」は,昭和20年(1945年)6月23日,沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなみ,琉球政府[昭和27年(1952年)-昭和47年(1972年)]及び沖縄県が定めた記念日です。

 

当職は,沖縄返還(日本の法令用語としては「沖縄の復帰」といいます。)の日である5月15日(返還された日は,昭和47年(1972年)5月15日です。)と「慰霊の日」には,沖縄に思いを馳せるようにしています。

先ほど,裁判所で,大久保潤・篠原章共著『沖縄の不都合な真実』(新潮新書,2015年)を読み終えました。この本は,現在ベストセラーとなっており,発売以来注目していた本ですが,期待を裏切らない充実した内容の書籍でした。

詳細な内容は割愛しますが,ブックカバーにはつぎのような記述があります。

 

【以下,引用始め】

「こじれにこじれる沖縄の基地問題の本質はどこにあるのか。見据えるべきは『カネと利権』の構造である。巨額の振興予算を巡り,繰り返される日本政府と県の茶番劇。この構図が変わらない限り,問題は解決できない。公務員が君臨する階級社会,全国ワーストの暮らしに喘ぐ人々,異論を封じ込める言論空間等々,隠された現実を炙り出す。党派を問わず,沖縄問題の『解』を考えていく上で必読の書。」

【以上,引用終わり】

 

 

上記書籍は,元防衛事務次官であった守屋武昌さんが書かれた『「普天間」交渉秘録』(新潮文庫,2012年)を読んだ時以来の衝撃を受けました(この本は,「普天間問題」の深層を,当事者ならではの視点で描く第一級の資料と言っても過言ではありません。沖縄基地問題に関心のある方は必読の書です。)。

上記書籍のタイトルは「沖縄」となっておりますが,著者ら自身も述べておられるように,上記書籍は決して「沖縄批判」の書ではありません。既得権益を守る公務員を中心とした「沖縄の支配階級批判」,民族主義的な沖縄権力への批判をされているのです。

 

沖縄問題(基地問題に限りません。上記書籍にも複数の問題に言及されています。)は,そうやすやすと「解」が出せる問題ではありません。

しかし,思考を止めてはなりません。まずはしっかりと事実を認識し,多角的な視点から評価する姿勢が大事であると思います。当職は,引き続き沖縄問題の「解」を求めていきたいと思います。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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