弁護士ブログ

2016.08.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

先日,弁護士ドットコムニュースに当職が担当した記事が掲載されました。

「PCデポ」で問題になった高齢者の契約問題…もし親が認知症の場合、どうすれば?

 

【以下,記事引用始め】

 

 

パソコンなどのデジタル機器に不慣れな人をサポートする「PC DEPOT」(ピーシーデポ)のサービスについて、ツイッターの投稿から批判に火がついた。

 

きっかけとなったそのツイートには、父親(高齢者)が不必要なサポート契約を結ばされていたこと、高額な解約料を請求されたことなどが記されている。投稿者はさらに、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「父親は認知症だ」と述べた。

 

高齢化が進むなかで、今回のような契約時のトラブルは増えていく可能性がある。仮に、認知症の親が勝手に高額な契約を結んだら、どのように対応をすればいいのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

 

 

●契約「無効」を主張できる

 


「まず、認知症の高齢者が不利な契約を締結した場合、その契約当時、認知症の高齢者には、法律上の判断ができる意思能力はなかったとして、契約は無効であるという『意思能力欠如の理論』が主張できます。

 

また、認知症の高齢者にとって、契約の内容が極めて不利であるため、高齢者にその契約の履行を求めることは公序良俗に反し、契約は無効であるという『公序良俗違反』の理論などを用いて、認知症の高齢者を不利な契約から解放する方法が、裁判例でも認められています。

 

とくに、『PC DEPOT』のサービスについては、携帯電話契約とくらべても、解約料があまりに高いことから、解約料については『平均的な損害の額を超える』部分が無効となる可能性があります(消費者契約法第9条第1項)。

 

さらに、契約期間が長期間におよんでおり、解約料無しに解約できる期間がほとんどないということであれば、消費者の権利を著しく制限しているため、解約料が無効となる可能性があります(同法10条)」

 

 

●成年後見制度を利用する

 


認知症の高齢者が、事前にこうした契約時のトラブルに備える方法はあるのだろうか。

 

「日常的に判断能力が不十分である認知症の高齢者だとすれば、一般的な契約を取り消すことによって、無効とすることができる制度を利用して申し立てる方法があります。

 

これを成年後見制度といいます。たとえば、認知症の高齢者が詐欺にあってしまったとしても、成年後見制度を利用することによって、契約を取り消したうえで、無効とすることができます。

 

成年後見制度では、認知症の高齢者の判断能力に応じて、補助、保佐、後見などの制度が利用できます。

 

一人暮らしで身寄りのない認知症の方であっても、申立てをおこなうことができ、親族がいない方でも弁護士や司法書士など、裁判所から最もふさわしいと判断された成年後見人が付いてくれるので、安心できます」

 

 

●「高齢者を独りにしないセーフティーネットが必要だ」

 


高齢化がすすむ日本では、契約時にトラブルにあったり、あるいは詐欺にあうというケースも起きるおそれがある。

 

「高齢者はお金を持っており、簡単にだませると思われているため、悪いことを考える輩からすれば狙われやすくなっています。

 

また、一人暮らしの高齢者は孤独であることが多く、(悪いことを企む)訪問者に対し、つい話をしてしまい、いつの間にかだまされているということも見受けられます。

 

とくに、認知症の高齢者は、判断力が低下してしまいますので、良いか悪いかなど判断できていない場合が多く、誘導されるままお金を支払っていると思われます。手口も、脅したあと優しく接し安心させるなど、高齢者の心理を巧みに操っている場合も多く、認知症の方では、対処が難しいものとなっています。

 

無縁社会などといわれる現代ですが、やはり周囲の方への声掛けや、様子伺いなどで、独りにしないセーフティーネットが必要であると考えます」

 

濵門弁護士はこのように述べていた。

 

(弁護士ドットコムニュース)

 

【以上,記事引用終わり】

 

 

投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.06.27更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 「うちの旦那の不倫相手の女性は定職がありません。そんな相手方に対し,慰謝料請求をしても意味があるのでしょうか?」——よくあるご相談です。

 ご相談者は,子どもがおり,まだ幼いので旦那とは別れたくないが,こんなことになってこれほど傷つけられていても「私にはどうすることもできないのですか?」と尋ねられることもあります。

 慰謝料を請求した場合,相手方に資産や収入があれば支払ってもらえそうだですが,働いていないいわゆる「ニート」で,資産もない場合はどうなるのでしょうか。

 

●夫婦関係が破綻していなければ,慰謝料は低額になる

 まず,夫(妻)が浮気したら,妻(夫)は相手方に対し,慰謝料請求できるということは,みなさんもよくご存じかと思います。しかしそもそも,高額な慰謝料は夫(妻)との夫婦関係の破綻(別居や離婚)を前提としたものでありまして,そうでない場合には,かなり慰謝料額が低額となることはあまり知られていないと思います。

 すなわち,浮気したパートナーとの夫婦関係が破綻しない場合は,不倫相手に対する「慰謝料」も少なくなるのです。

 その理由を,交通事故になぞらえて,説明いたします。

 そもそも,浮気は,夫(妻)と相手方との共同不法行為(民法第719条)となります。たとえば,2台の車が追突して,その結果として歩行していた被害者が事故にまきこまれたケースを想定してみます。この時,2台の運転手がいずれもよそ見をしていたならば,2人は共同不法行為の加害者になります。この2人の運転手が「相手方と夫(妻)」であるとしますと,被害者である歩行者は「妻(夫)」になります。

 浮気の結果,夫(妻)とやり直すということになれば,浮気によって家庭が崩壊したわけではありません。この場合,不法行為の結果が重大でないために,慰謝料は離婚に至った場合よりもかなり低額となります。

 それは事故でまきこまれた歩行者の怪我が軽かったのと同じなのです。浮気を知ってしまったご相談者の心中を察しますと,なかなかご納得いただけない場合も多いのですが…。

 

●「ニート」である不倫相手に慰謝料を払ってもらうのは難しい

 たとえ,もらえる慰謝料が少なかったとしても,夫(妻)の不倫相手に妻(夫)は慰謝料を請求したくなることもあると思います。それでは,その相手方が「ニート」など無職だったら,どう支払ってもらえるのでしょうか。

 慰謝料を請求するとして,定職も財産もない相手方からは,任意で払ってもらうのが難しそうです。かりに債務名義があったとしても,差押えをする対象(給料債権や預貯金債権)がないので,支払を強制するのも困難です。

 すなわち,「無い袖は振れぬ」との言葉があるとおり,お金のない人に支払ってもらうのはなかなか大変なわけです。

 そうすると,現実的には「泣き寝入り」となることもあるでしょう。

 相談者の方々には,「心中お察しいたしますが,現実的には,離婚を回避し,パートナーとの関係修復を目指すという方法もありますよ。」と説明する場面もままあります。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.05.06更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 いよいよGWもあとわずかとなりました。本日,弁護士ドットコムニュースに当職が監修した記事が掲載されました。

 【タイトル】夫が息子に「ヤンキーマンガに出てきそうな名前」をつけたがる…妻は阻止できる?

 以下記事を引用しておきます。

 

 【以下,記事引用始め】

 夫の考えた子どもの名前が「ヤンキーマンガ」に出てきそうなもので困っているーー。生まれてくる子どもの命名に悩んでいる妻の投稿が、ネットの掲示板で話題となった。

 投稿者の家庭では、もうすぐ第二子が誕生する予定。性別が男とわかってから、夫婦でお互いに名前の候補を出し合ったところ、ヤンキーだったわけではないのに、夫の出す案が「デコトラとかヤンキーバイクに書いてそうな漢字ばかり」なのだという。

 夫は自分の案を一歩も譲らない姿勢を見せているようだが、投稿者は夫が提案した名前は避けたいと考えている。夫が提案した名前を命名することを阻止できるのだろうか。子の命名について、法的ルールはどうなっているのか、濵門俊也弁護士に聞いた。

●子どもの命名は、夫婦共同で行う

 「子どもに名をつける権利(命名権)が誰にあるのかということについては、民法はもちろん、戸籍法にも明確な規定はありません。

 ただし、戸籍法52条1項は、子どもが生まれた際、出生の届出をする義務がある者を父母と定めています。

 このことから、父母が共同で命名して、出生の届出を行うことを当然の前提としていると考えられています」

 濵門弁護士はこのように指摘する。夫が勝手に命名することを、妻は阻止できるのか。

 「夫が勝手に子どもの名前をつけることはできませんので、投稿者は、夫が勝手に名前をつけることを止めることができます。

 ただ、その裏返しとして、妻も単独で子どもの名前をつけることはできません。

 結局のところ、夫婦でよく話し合って決める必要があるといえるでしょう」

 もし、夫に押し切られて、夫の提案する名前に折れてしまった場合、後で後悔しても遅いのだろうか。

 「どうしても納得できない場合は、出生届が出された後でも、改名を申し立てることができます。

 『正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない』(戸籍法107条の2)とされています。

 『正当な事由』としては、いろいろな要素が考えられますが、今回のケースでいえば、夫のつけた名前が、いじめや差別を助長する、珍奇で社会生活上支障をきたすといった主張が考えられるでしょう」

●原則として自由につけられる

 そもそも、子どもの名前自体に制限はないのか。

 「人の名に関する法的な規制は、戸籍法50条1項が、『子の名には、常用平易な文字を用いなければならない』と規定しています。

 また、戸籍法施行規則60条は、常用漢字、人名用漢字、変体仮名を除く平仮名又は片仮名の使用に限定し、一定の制限を設けています。


 こうした制限を除けば、親(父母)は、原則として自由に子どもの名前をつけることができます」

 (弁護士ドットコムニュース)

【以上,記事引用終わり】

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.03.25更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 本日,当職がコメントした記事が弁護士ドットコムに掲載されました。

 ▼乙武さん妻の「謝罪声明」が波紋 「夫の不倫」の責任は妻にもあるのか?

【以下,記事引用始め】

 妻以外の女性との「不倫」が発覚した乙武洋匡さん。「一夫一婦制では不満足」と報じた週刊新潮の発売日に公式サイトですばやく謝罪し、火消しをはかっている。不倫で謝罪するのは珍しいことではない。だが、乙武さんのケースで異例なのは、妻も一緒に「謝罪声明」をだしたことだ。

 乙武さんの妻・仁美さんは声明の中で「このような事態を招いたことについては、妻である私にも責任の一端があると感じております」「本人はもちろん、私も深く反省しております」と記し、夫が不貞を働いた責任の一端が自分にもあるとした。

 しかし、このような妻の声明に対しては、「妻に謝罪コメント出させるなんて、サイテーだにゃ」(江川紹子さん)、「浮気は彼女が悪い?不倫は妻が悪い?そーいう考え方やだ!!」(鈴木紗理奈さん)と、女性から批判の声があがっている。

 一般的に、不倫は民法上の「不法行為」とされ、もし夫が妻以外の女性と肉体関係をもてば、妻はその相手女性に対して慰謝料を請求できる。そんなとき、慰謝料を請求された相手女性は「不倫された妻にも責任がある」と反論できるのだろうか。慰謝料を減らすため、妻の「落ち度」を主張することは認められるのか。男女関係をめぐる法律問題にくわしい濵門俊也弁護士に聞いた。

●妻が「法的責任」を負うことはないが・・・

 「今回の乙武さんの奥さまのコメントは、『先』を見据えた深謀遠慮(ここではコメントを差し控えます)に基づくものであり、一々コメントすることはあまり意味がないものと、私的には考えています。その意味において、江川さんや鈴木さんのコメントは的を得ていないと思います」

と断りつつ、濵門弁護士はこう続ける。

 「ただ、慰謝料を請求された不倫相手の女性が『不倫された妻にも責任がある』と反論できるかどうかと言えば、『できる場合もある』ということになります。

 誤解のないように述べておきますが、あくまでも不貞行為に及んだ人(本件でいえば夫)が責任を負うものであり、その配偶者(本件でいえば妻)が法的責任を負うものではありません」

 いったい、どういうことなのか。

 「『できる場合もある』と述べたのは、相手女性が『すでに婚姻関係が破綻している』と主張できる場合があるという話です。

 この主張は、不貞行為の相手方に損害賠償を請求する事件において、ほとんどの事案で相手方から主張される抗弁です。もっとも、この抗弁が裁判で認められるようになったのは意外に新しく、1996年の最高裁判決(最三小判平成8年3月26日)がその嚆矢となっています」

●「婚姻関係が破綻していたか」は客観的な事情で判断

 相手女性からの「婚姻関係が破綻していた」という主張が常に認められるかといえば、必ずしもそうではないようだ。

 「裁判所による『すでに婚姻関係が破綻していた』という認定は、夫婦間の関係を全体として客観的に評価することとされています。すなわち、当事者の主観のみで判断されるものではない、という点に注意が必要です。

 相手女性としては、慰謝料の金額を減らすか責任を免れるために、妻の『落ち度』を主張することがありえるでしょう。具体的には、夫婦間の慈しみが失われ、会話や食事等の日常的接触を避けるようになってからある程度の期間が経過し、さらに寝室や家計までも別々であった、などといった主張することが考えられます。

 しかし、相手女性が主観的に『婚姻関係が破綻していた』と考えていたとしても、その主張がそのまま裁判所に認められるわけではありません」

 乙武さんのケースではどうだろうか。

 「報道を見る限り、今回の場合は『婚姻関係が破綻していた』という状況にあったとはいえないように思います。また、公表された声明によれば、奥様は乙武さんを許していると考えられますので、そもそも、乙武さんと不貞行為に及んだ相手女性が『慰謝料』を請求される憂き目をみることはないように思われます」

と濵門弁護士は話していた。

【以上,記事引用終わり】

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 連載19年をほこる,国民的大人気漫画「ONE PIECE」。原作者は,当職と同じく熊本県熊本市出身の尾田栄一郎先生です(同郷のよしみで何とかお会いできないかといつも軽い妄想を抱いています。)。原作単行本を読んだり,毎週日曜日に絶賛放送中のアニメーションも視聴しております。

 今日は4年に一度の2月29日なので,何とか記事を書きたいなと思っていましたところ,「ONE PIECE」に関連して,なんと描き下ろしイラスト入りの婚姻届が登場したとのニュース報道に接しました。

 

 報道によりますと,デザイン婚姻届を販売している通販サイト「婚姻届製作所」が,2月に発売したとのことです。ルフィやゾロ,サンジなど,正装した主要キャラクターの描き下ろしイラストが,余白に大きくあしらわれています。主要キャラが集まった「麦わらの一味」に加え,キャラごとに全10種類が,税込み3000円で販売されているとのことでした。

 販売する「株式会社e'motion」(東京都新宿区)の担当者のお話によりますと,「原作でルフィが『宴だー!』と叫ぶ有名なシーンがあります。大勢のキャラが集まった,その場面の幸せ感,お祝い感を婚姻届で表現したいと考えました。男女問わずファンが多いことも,採用の理由です」と販売の経緯について,述べておられました。

 記事では,「ONE PIECE」に恋愛要素が少ないことに触れられていましたが,現在進行形の恋愛が少ないだけであり,数多くの恋愛模様(しかもそれぞれが美しく儚いですね。印象に残ります。)が描かれていると当職は思います。

 

 上記報道に接したので,「婚姻届の秘密」に関する豆知識を披露します。わが国年間で約67万件(平成24年度)提出されている婚姻届ですが,あまり知られていない意外な事実があります。それがつぎの3点です。

 ① 自分の住民票がある役所以外でも提出ができる

 ② 婚姻届を発行してもらった役場以外で提出も可能

 ③ (届出書のフォーマットを守れば)ある程度デザインが可能

 

 そうしますと,婚姻届はご夫婦となろうとする方々にとって,縁もゆかりもない土地,たとえば初めて新婚旅行で訪れた土地の役所に立ち寄って提出することもできるということです。自分が住んでいる市区町村役場でないとダメ,という決まりはないわけです。

 また,全国どこの役所でも婚姻届のフォーマットは統一されていますから,(甲県)乙市で受け取った婚姻届を(丙県)丁市の役所に提出することも可能とされています。

 そして,所定のフォーマットを崩さなければ婚姻届のデザインを変更することも可能とのことです(例えば,結婚情報雑誌の付録にあるような枠の色をピンクにした婚姻届も通用します。上記報道の記入欄外にキャラクターの絵を配置するなどの婚姻届も使えるわけです。)。

 

 通常,窓口に提出すれば二度と返ってこない婚姻届ですが,意外な点に目をつけた自治体や企業が地元発信や観光促進・キャンペーンのためにアイデアを凝らした婚姻届を作成し提供しているそうです。まさに「地方創生」の智慧ですね。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 法務省は,昨日平成28年2月18日の自民党法務部会において,①現在は「6か月」(180日)とされている女性の再婚禁止期間を「100日間」に改めるとともに,②離婚時に妊娠していなければ直ちに再婚を認める民法改正案の概要を明らかにしたそうです。

 後述するように,①の改正案は最高裁大法廷判決に沿ったものであり,予想通り極めて妥当であるといえますが,②の改正案は,最高裁大法廷判決よりさらに突っ込んだ内容となっており,「やるな,法務省」といった印象を受けます。

 

 もともと,再婚禁止の期間は,離婚した女性が産む子どもの父親が誰かを明確にするため,明治31年(1898年)に規定されたものを現行民法第733条が引き継いだ規定だったのですが,今回の改正案は,医学の進歩などを考慮して大幅に見直すことになったといえます。

 

 法務省は,現在行われている通常国会で,民法改正を目指し,3月には国会に法案を提出する予定だそうです。

 以前本ブログでも書きましたが,法務省はすでに運用を変更しています。

 最高裁大法廷は,昨年平成27年12月,女性の再婚禁止期間を定めている民法第733条第1項について,再婚までの期間が100日あれば,①離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子,②婚姻後200日後の子は現夫の子――ということとなり,嫡出推定が重ならないことから,100日を超える期間は「過剰な制約」であるとして,違憲と判断しました。この最高裁大法廷の違憲判決を受け,法務省は,離婚後100日を経過していれば婚姻届を受理するよう,全国の市区町村に対し,通知しています。

 

 このニュース報道は,日本国憲法の定める権力分立規定が健全に作用したことを裏付けています。これに対し,議員定数削減問題は,なかなか進展がありません。わずか10議席を削減することもできずにいるようです。主権者である国民は,心して政治を監視しなければなりません。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.16更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 当職は,最近離婚調停や訴訟の案件が増えておりまして,先日ある事件に関し,テレビジョン放送でコメントを求められた際,「離婚問題に詳しい濵門俊也弁護士によれば…」などと紹介されておりました。日に日に新たに精進する毎日であります。

 先日ある調停事件に臨みましたところ,裁判官を含めた調停委員会から「本調停は『なさず』で終了させることもご検討ください」と言われました。これに対しては,「当方は誠実に応対しているのであるから,『なさず』との措置は承服できない」と回答しました。

 なかなか「なさず」とは聞きませんから,渋いなと唸りました。そこで,今回は,「調停事件の終了事由」について概説します。

 

 調停事件は,一定の事由が生じますと,以後,調停手続として調停をつづけることができなくなります。この場合,事件が係属していた家庭裁判所の手から離れることとなります。このことを「事件の終了」といいます。

 調停事件の終了事由としては,つぎの7つがあります。

 ① 「成立」(その調停について,当事者間で合意ができた)

 ② 「不成立」(当事者間に合意が成立する見込みがなくなった)

 ③ 「なさず」(裁判所としては,その事件を取り扱わないこととする)

 ④ 「取下げ」(調停の申立人が申立てそのものを取り下げてしまった)

 ⑤ 「当然終了」(調停の当事者が死亡した)

 ⑥ 「移送」「回付」(その事件を他の家庭裁判所の取扱いとする)

 ⑦ 「調停に代わる審判」(裁判所が審判で解決案を提示する)

 

 先ほど述べました「なさず」という終了事由は,調停をしない措置のことであり,家事事件手続法第271条に規定があります。

 すなわち,家事事件手続法第271条には,「調停委員会は,事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき,又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは,調停をしないものとして,家事調停事件を終了させることができる。」と規定されています。

 「事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき」とは,求めている調停の内容自体が法律や社会正義に反する場合,たとえば,不貞関係を継続することや認知しないことを条件に一定の金銭の支払をするなどを意味します。

 「当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるとき」とは,当事者双方が無断で調停期日に欠席を繰り返す場合や調停制度の趣旨に沿った利用をする意思がないことが明らかな場合です。

 「なさず」という終了事由は,いわば調停委員会が調停を行うことは適当でないとして,これを拒否することです。その意味において,かなり厳しい内容といえます。

 「なさず」という調停をしない措置は,裁判ではありません。よって,これに対する不服申立てはできません。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.11.20更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 元スーパーアイドルのメンバーで俳優のOさんが,女優のKさんとの間にもうけた長男(現在18歳)が実子ではないことの確認を求めた親子関係不存在確認訴訟において,東京家庭裁判所は,昨日平成27年11月19日,「原告と被告との間に親子関係が存在しないことを確認する」との判決を言い渡しました。婚姻から200日目に出生した長男は民法772条2項により親子関係が推定されず,DNA型鑑定でも生物学的父親ではないという結果があることから,Oさんの勝訴となりました。

 

 「200日」という数字が大きなポイントになっており,上記東京家庭裁判所は,民法772条2項の「200日後」の「後」について,200日目を含まないという見解を採用したこととなります。

 それでは,かりに長男が201日目に出生していれば,どうなっていたのでしょうか。この場合の長男は民法772条により嫡出の推定を受ける子ということとなりますが,そのような場合でも親子関係不存在確認の訴えが許されるのでしょうか。

 

 この点に関し,「夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであるなどの事情がある場合における親子関係不存在確認の訴えの許否」が争われた事案について,最判平成26年7月17日民集第68巻6号547頁は,「夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても,親子関係不存在確認の訴えをもって父子関係の存否を争うことはできない。」旨判示しています。

 

 嫡出推定に関する現行民法の規定は,妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定し(民法772条1項),夫において子が嫡出であることを否認するためには,嫡出否認の訴えによらなければならず(同法775条),この訴えは,夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない(同法777条)とされています。そして,このような嫡出推定に関する規定があることに伴い,父性の推定の重複を回避するための再婚禁止期間の規定(民法733条)及び父を定めることを目的とする訴えの規定(同法773条)が整備されています。

 

 このように,民法は,父子の法律関係を安定させるために,1年以内に限って,「嫡出否認の訴え」という特別の類型の訴えを認めているのみですから,もし,冒頭の事案において,長男が201日目以降に生まれていた場合には,「親子関係不存在確認の訴え」によって父子の法律上の親子関係がないことは確認できなかったわけです。 

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.10.14更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

●調停前置主義とは?

 一般に,法律上の争いごとは最終的に訴訟手続で解決を目指しますが,争いの内容によっては,訴訟ではなく調停から先に始めなくてはならない場合もあります。

 訴訟の前に調停をしなくてはならない制度を「調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)」と呼びます。調停前置主義が適用されるのは主に家庭内の争い(家事事件)で,早く訴訟でけりをつけたい当事者にとっては迂遠な気がするかもしれません。しかし,調停前置主義には理由があります。それは,家事事件特有の事情があることを考慮しているからです。

 通常第三者同士で争われる民事事件とは異なり,多くの家事事件では紛争が解決した後でも,親子,親族といった人間関係は続いていくので,結果がすべてではありません。望ましい紛争解決は,申立ての背景にある人間関係の調整で,訴訟手続ではっきり白黒を決するよりも調停から始めるほうが,当事者同士の関係改善には有効であると考えられているのです。

 

 

●調停前置主義が適用される事件

 家事事件での調停前置主義は,家事事件手続法第257条に規定されています。

 

 家事事件手続法第257条

 第244条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は,まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

 2 前項の事件について家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には,裁判所は,職権で,事件を家事調停に付さなければならない。ただし,裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは,この限りでない。

 3 裁判所は,前項の規定により事件を調停に付する場合においては,事件を管轄権を有する家庭裁判所に処理させなければならない。ただし,家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは,事件を管轄権を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に処理させることができる。

 

 家事事件手続法第244条では,別表第1事件を除く「人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件」について調停すると定められています。そして,調停前置主義は訴えを提起しようとする者と限定していることから,審判事件である別表第2事件も除かれます。

 その結果,特殊調停事件(婚姻や協議離婚の無効確認・取消し,認知,嫡出否認など)と一般調停事件(離婚,離縁など)が調停前置になります。

 

 

●調停前置でも申立ての却下はされない

 調停前置主義で誤解されやすいのは,調停前置主義の適用になる事件の申立てが,調停前置主義に違反しているとして却下はされない点です。家事事件手続法には,先に調停を申し立てずに訴えを提起した場合について規定しています(家事事件手続法第257条第2項)。

 調停をせずに訴えを提起しても,受理した裁判所の職権で調停に付される(調停から始める)にすぎません(これを「付調停」といいます。)。結果的には調停となるのですが,事情から付調停が相当ではないと裁判所が認めれば,受理された訴えは訴訟手続に進みます。

 

●調停前置の例外として付調停にならない事例

 裁判所が調停前置による付調停を相当ではないと認める場合とは,一例を挙げれば次のような場合です。

 ・相手方が行方不明で調停できない
 ・相手方が死亡して訴えの被告が検察官
 ・相手方が精神障害等で調停では解決できない
 ・相手方が調停に応じないと明らかな場合
 ・調停で解決せず調停を取り下げた経緯がある
 ・当事者が外国籍で他国の法律との関係から調停が馴染まない
 いずれの場合でも,調停ができない又は調停をすること自体が無意味なケースで,気を付けたいのは,調停で解決できなかった実態があれば,調停を取り下げたとしても調停前置による付調停は適用されない点です。

 調停を取り下げると,調停自体がなかった扱いですから,調停前置主義で再度調停になりそうですが,実際は訴えを起こすことができます。他のケースも含め,前調停が訴訟の要件ではなく,実質的に調停が不適当なら問題なく訴えは受理されます。

 

●付調停は調停前置だけの理由ではない

 調停前置主義で調停に付されるとはいえ,調停に付されたから調停前置主義とは限らず,付調停は裁判所が必要であると判断したときに職権で行うものですから,付調停に対して不服申立てはできません。

 家事事件手続法第274条では,調停ができる事件であれば,訴訟や審判の係属中(手続中)は,裁判所は職権で家事調停に付すことができるとされています。

※調停に付されて成立すれば,訴えの取下げ又は審判事件の終了とされます。

 したがって,家事事件で調停前置主義がなく,審判からの申立てが認められる別表第2事件ですら調停に付される可能性はありますが,その場合は当事者の事情を聞いたうえで,自主的な調停を勧めているようです。

 ただし,付調停の対象は調停ができる事件と限定されていることから,調停を利用できず審判で解決する別表第1事件が,調停に付されることはありません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.08.31更新

(前編からのつづき)

 

 こうしてアーサー王は久しぶりに宮廷に帰還します。円卓の騎士たちも大喜びです。

 しかし,アーサー王は老婦人との約束を思い出し沈んでいます。

 約束はしたものの,美しく礼儀をわきまえた騎士をあんなに醜い老婦人と結婚させなくてはなりません。

 悩むアーサー王をみて心を痛めたアーサー王の甥であるガウェインが,アーサー王に近づきます。

 アーサー王は老婦人との約束を,ガウェインに説明しました。王に忠義なガウェインは,「私がその女性の婿となりましょう。」と言います。

 アーサー王は,美しく礼儀をわきまえたガウェインをあんなに醜い老婦人と結婚させたくありません。もちろん反対します。しかしガウェインも言い出したら聞きません。

 結局ガウェインが老婦人の良人となることになりました。

 

 仲間の騎士たちがからかう中,ガウェインと老婦人との結婚式が始まりました。花嫁は顔を背けたくなるような醜い老婦人。ガウェインは,アーサー王を裏切り者にしないための結婚,幸せというには程遠い結婚式でした。当然ながら祝いの宴も開かれませんでした。

 そして夜がきました。

 部屋には新郎新婦の二人きり。しかしガウェインは,外を見てため息ばかりついています。花嫁の顔さえ見ようとしませんでした。すると老婦人の花嫁が話しかけます。

 「わが良人よ。あなたは新婚初夜だというのに,私を見ようともせず,ため息ばかりついておられる。なぜですか?」

 するとガウェインも答えます。

 「私がため息をついている理由は3つある。1つ,あなたが老人であること。2つ,あなたが醜いこと。3つ,あなたの身分が低いことだ。」

 それを聞いて,老婦人は反論します。

 「1つ,たしかに私は年老いていますが,それだけ人よりも思慮が深く知恵に富んでいるということです。決して悪いことではありません。

  2つ,妻が醜いことは良人にとって幸運です。他の男が言い寄ることを心配しなくていいからです。

  3つ,人の価値は生まれや身分で決まるものではありません。魂の輝きによるものです。」

 

 騎士ガウェインは,返事をしないで花嫁の方へ視線を向け,愕きの目を見張りました。するとどうしたことでしょう。そこにいたのは,まばゆいばかりに輝く美しい乙女でした。

 「おまえは一体何者だ?」

 驚くガウェインに,花嫁が言いました。

 「じつは,私は邪な魔法使いに魔法をかけられて,老婦人の姿に変えられていたのです。2つの願いがかなわなければ,もとの姿に戻ることができません。若くて優れた騎士を良人にするという1つの願いが叶ったので,私は1日の半分をもとの姿ですごすことができるようになりました

 もとの姿でいられるのは,昼がいいですか?それとも夜がいいですか?わが良人よ,お選びください。」

 

 ガウェインはこう言いました。

 「その美しい姿は,二人だけの夜の時間に見せてほしい。できればその美貌を,他の男達に見られたくはないものだ。」

 それに対し,花嫁はこう答えます。

 「女というものは,昼間大勢の騎士や貴婦人たちの間に交じって,美しくていられる方が,それはそれは嬉しいんですよ。」

 それを聴いたガウェインは,しばらく考えた後こう言いました。

 「おまえの好きにするがよい。」

 すると花嫁が満面の笑みを浮かべて言いました。

 「たった今,2つ目の願いがかないました。私はもう,昼も夜も老婦人に戻ることはありません。」

 2つ目の願いが何だったのか。そう,「自分の意志を持つこと」だったわけです。

 それと同時に,その兄,つまり例の心の捻れた騎士の呪いも解けたのでした。じつは兄妹ともに,悪魔の呪いに巻き込まれていたのです。その騎士も,男らしい心の広い騎士に戻ったのでした。(おしまい。)

 

 いかがでしたでしょうか。物語から700年経った現在でも,女性はもちろん,男性も「自分の意志を持つこと」は難しいのかもしれません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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