弁護士ブログ

2019.09.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。


昨日,注目すべき判決が下されました。

【以下,令和元年9月18日付け朝日新聞デジタルより引用】https://www.asahi.com/articles/ASM9L5FPSM9LUTIL04Z.html

 

 同性カップル間で不貞行為があった場合にも、異性間の内縁関係と同じ権利が認められるかが争われた訴訟で、宇都宮地裁真岡支部(中畑洋輔裁判官)は18日、「実態があれば、内縁関係に準じた法的保護が受けられる」との判断を示し、不貞行為をした相手に慰謝料など110万円の支払いを命じた。同性カップルにも内縁関係に準じた法的保護を認めた初の判決とみられる。

 米国で結婚して日本国内で同居していた同性カップルの30代女性が、「パートナーの不貞行為で破局した」として相手の女性らに約640万円の損害賠償を求めていた。
 判決は、婚姻が両性の合意のみに基づいて成立するとした憲法24条についても検討。「制定当時は同性婚を想定していなかったにすぎず、否定する趣旨とは言えない」と述べ、「24条は同性婚を想定していない」とする政府とは異なる解釈に踏み込んだ。
 婚姻届を出さずに暮らす男女の内縁関係については、1958年(筆者注:昭和33年)の最高裁判決が「婚姻に準ずる関係」と明示。不当に破棄された場合は損害賠償を求められるとしており、裁判ではこの判例が同性カップルにも適用できるかが争点となっていた。
判決は、社会の価値観や生活形態が多様化したことを挙げ、「婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じがたい」と指摘。同性カップルを公的に認証する自治体が現れている社会情勢なども踏まえ、「同性カップルに一定の保護を与える必要性は高い」とした。


【以上,引用終わり】


別報道によりますと,被告ら代理人弁護士は控訴を検討するようですが,上記判決は実に画期的な判決であり,中畑裁判官の勇気と決断に敬意を表したいと思います。今後の議論に一石を投じることとなるのは必定でしょう。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2019.06.12更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


ある著名なポータルサイトを閲覧していますと,「審判離婚が確定したのですが,再婚はいつからできるのでしょうか。離婚届はどちらが提出するのでしょうか。」という主旨の質問がありました。「審判離婚」で終結する案件はなかなかないので,お困りの様子でした。当職の皮膚感覚でも「審判離婚」はほぼないです(離婚自体を争っている案件が多いためです。)。
そこで,今回はあまりなじみのない「審判離婚」について解説したいと思います。


●審判離婚とは


裁判所における離婚手続は,まず家庭裁判所に対する調停申立てをし,これが不成立に終わった場合に離婚訴訟を提起するというのが原則的な流れです。審判手続に移行することは一般的にはありません。しかし,調停が成立しない場合であっても,離婚自体は合意しているが財産分与や子の監護方法等にわずかな相違があるにすぎない場合や婚姻関係が破綻していることが明らかなのにいたずらに調停に出頭しない場合など,あらためて離婚訴訟を提起させることが申立当事者にとっても社会経済上も無駄になることがあり得ます。
そのような場合に,家庭裁判所の判断で離婚の審判を下せる制度が「審判離婚」です。

【参照条文】
家事事件手続法
(調停に代わる審判の対象及び要件)
第284条  家庭裁判所は,調停が成立しない場合において相当と認めるときは,当事者双方のために衡平に考慮し,一切の事情を考慮して,職権で,事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし,第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては,この限りでない。
2  家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において,調停に代わる審判をするときは,家庭裁判所は,その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
3  家庭裁判所は,調停に代わる審判において,当事者に対し,子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。


●審判離婚ができる場合


では,どのような場合に審判離婚が認められるのでしょうか。まず,一般論として調停に代わる審判ができる要件を確認しておきます(家事事件手続法第284条)。
【調停に代わる審判を行う要件】
①調停成立に見込みがないこと
②家庭裁判所が相当と認めること
③委員会調停の場合は家事調停委員の意見を聴くこと
④当事者双方に対する衡平と一切の事情を考慮すること


具体的にはつぎのような場合にできるとされています。
①離婚の合意はできているが,病気などの理由で裁判所に出頭できない場合
②離婚の合意はできているが,親権や養育費,慰謝料などの条件面でわずかな意見の対立がある場合
③婚姻関係が破綻しているのに相手方がいたずらに調停期日に出頭しない場合
④当事者の一方が遠隔地にいるため出頭できないが,調査官が離婚意思について確認している場合
⑤渉外離婚等の事件で,調停期日において合意が成立している場合
⑥渉外離婚等の事件で,準拠法(外国法)が裁判離婚しか認めていない場合


注目するべき点は,お子さんの親権の争いで対立している場合でも審判離婚が利用できる点です。調停に代わる審判が,離婚・離縁事件と別表第二の事件が対象となるからです。
そうすると,たとえば,離婚調停で相手方が嫌がらせ目的などの感情だけで親権を譲らないといった場合には,審判離婚できる可能性があることとなります。


●審判離婚があまり活用されていない理由


もっとも,リード文でも述べたとおり,審判離婚はあまり活用されていないのが現状です。それは,以下の理由が考えられます。
【理由】
①そもそも当事者双方が離婚に同意していれば調停が不成立になるケースが少ないから。
②調停に代わる審判は,審判日から2週間以内に異議申立てがあると効力を失ってしまう(別表第二の事件の審判手続についても失効します。)ので(家事事件手続法286条,279条),異議申立てが予想される事案では,あえて調停に代わる審判を経ずに調停不成立とし,離婚訴訟に誘導・移行させることが多いから。


●審判離婚の効力


さて,審判離婚で離婚の審判が下された場合ですが,その効力は裁判での判決と同等の効力をもちます。
しかし,審判が下されどうしても納得できない場合には審判日から2週間以内に裁判所に対して異議申立てを行うことができます。
その際には理由などの記載は不要なので,不服がある場合には異議申立てを行い審判結果を争うこととなります。
【参照条文】
家事事件手続法
(異議の申立て等)
第286条 当事者は,調停に代わる審判に対し,家庭裁判所に異議を申し立てることができる。
4 異議の申立人は,前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し,即時抗告をすることができる。
5 適法な異議の申立てがあったときは,調停に代わる審判は,その効力を失う。この場合においては,家庭裁判所は,当事者に対し,その旨を通知しなければならない。


●審判確定後の手続


審判後2週間が経過すると異議申立てがないものとされ審判が確定します。
それから10日以内に市区町村の役場に「審判書の謄本」「審判確定証明書」「離婚届」を提出することで離婚が成立することになります。離婚届は審判離婚の申立人が役所に提出します。
なお,期限の10日を経過した後は相手方でも提出できるようになります。いつから再婚できるかですが,女性の場合,再婚禁止期間(待婚期間)が100日となっておりますので,それを経過すればよいということとなります。
【参照条文】
民法
(再婚禁止期間)
第733条
女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

投稿者: 弁護士濵門俊也

2019.02.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


本日,最高裁判所第3小法廷(宮崎裕子裁判長)で注目の判決が下されました。
離婚時の精神的苦痛に対する慰謝料を,別れた配偶者の過去の不貞行為の相手方に請求できるかという点が争点となった事件です。

配偶者の不貞行為の相手方に対しては,離婚が成立したかどうかにかかわらず不貞行為の慰謝料を請求できることとされています。しかし,離婚に対する慰謝料を請求できるかについては,実は最高裁の判例がなく,初判断が示される可能性があるとして注目されていました。

結論から申し上げますと,最高裁は,特段の事情がない限り,不貞行為の相手方に対し離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断しました。

 


●事案の概要と上告までの流れ


原告は関東地方に住む男性です。平成27年に妻と離婚し,その4年前まで妻と不貞交際関係にあった妻の元同僚を相手取り「不貞行為が原因で離婚した」として計約500万円の支払いを求めて提訴した事案です。ちなみに,妻には慰謝料を請求していません。

本件の事案の特殊性としては,原告の男性が元妻の不貞行為を知ってから3年以上経過していたことが挙げられます。民法724条前段は,不法行為に基づく損害賠償請求権は「損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する」と規定しています。このため,訴えられた元不貞行為の相手方側は「時効により請求権が消滅している」と反論しました。

ところが,第一,第二審は,原告の男性の訴えを認め,元不貞行為の相手方側に約200万円の支払いを命じました。第一審判決は「不貞行為の発覚をきっかけに婚姻関係は悪化し,離婚に至った」と認定。離婚慰謝料について,消滅時効の起算点は「離婚の成立時」であるとする最高裁判例(最二小昭和46年7月23日民集25巻5号805頁)を引用し,「不貞行為により離婚を余儀なくされて精神的苦痛を被ったと主張する場合,損害は離婚成立時に初めて分かる」と判示し,慰謝料の支払いを命じたのです。

判決ははっきりとは述べていませんが,「不貞慰謝料」ではなく,「離婚慰謝料」として元不貞行為の相手方に支払いを命じたわけです。平成27年の離婚から3年以内の提訴でしたので,この枠組みであれば消滅時効にはかからないわけです。この判断第二審・東京高裁も支持しました。

この判決を元不貞行為の相手方側は不服とし,最高裁に上告したのです。

本件では,第二審の結論を変更する際に必要な弁論が開かれたことから,元不貞行為の相手方に賠償を命じた原判決が変更される可能性があるとして注目されていました。


●最高裁は,特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断


【最高裁判決の理由,以下引用始め】


夫婦の一方は,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めることができるところ,本件は,夫婦間ではなく,夫婦の一方が,他方と不貞関係にあった第三者に対して,離婚に伴う慰謝料を請求するものである。
夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが,協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても,離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって,夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。
第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
以上によれば,夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。


【最高裁判決の理由,以上引用終わり】


当職は,あくまでも離婚に伴う慰謝料請求という性質上,本件の第一,第二審の判断については,違和感しかありませんでした。ですので,法解釈上は最高裁の判断を相当であると考えます。事案の詳細については分かりかねますが,何かしら特殊な事実関係があったのかもしれません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.08.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

先日,弁護士ドットコムニュースに当職が担当した記事が掲載されました。

「PCデポ」で問題になった高齢者の契約問題…もし親が認知症の場合、どうすれば?

 

【以下,記事引用始め】

 

 

パソコンなどのデジタル機器に不慣れな人をサポートする「PC DEPOT」(ピーシーデポ)のサービスについて、ツイッターの投稿から批判に火がついた。

 

きっかけとなったそのツイートには、父親(高齢者)が不必要なサポート契約を結ばされていたこと、高額な解約料を請求されたことなどが記されている。投稿者はさらに、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「父親は認知症だ」と述べた。

 

高齢化が進むなかで、今回のような契約時のトラブルは増えていく可能性がある。仮に、認知症の親が勝手に高額な契約を結んだら、どのように対応をすればいいのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

 

 

●契約「無効」を主張できる

 


「まず、認知症の高齢者が不利な契約を締結した場合、その契約当時、認知症の高齢者には、法律上の判断ができる意思能力はなかったとして、契約は無効であるという『意思能力欠如の理論』が主張できます。

 

また、認知症の高齢者にとって、契約の内容が極めて不利であるため、高齢者にその契約の履行を求めることは公序良俗に反し、契約は無効であるという『公序良俗違反』の理論などを用いて、認知症の高齢者を不利な契約から解放する方法が、裁判例でも認められています。

 

とくに、『PC DEPOT』のサービスについては、携帯電話契約とくらべても、解約料があまりに高いことから、解約料については『平均的な損害の額を超える』部分が無効となる可能性があります(消費者契約法第9条第1項)。

 

さらに、契約期間が長期間におよんでおり、解約料無しに解約できる期間がほとんどないということであれば、消費者の権利を著しく制限しているため、解約料が無効となる可能性があります(同法10条)」

 

 

●成年後見制度を利用する

 


認知症の高齢者が、事前にこうした契約時のトラブルに備える方法はあるのだろうか。

 

「日常的に判断能力が不十分である認知症の高齢者だとすれば、一般的な契約を取り消すことによって、無効とすることができる制度を利用して申し立てる方法があります。

 

これを成年後見制度といいます。たとえば、認知症の高齢者が詐欺にあってしまったとしても、成年後見制度を利用することによって、契約を取り消したうえで、無効とすることができます。

 

成年後見制度では、認知症の高齢者の判断能力に応じて、補助、保佐、後見などの制度が利用できます。

 

一人暮らしで身寄りのない認知症の方であっても、申立てをおこなうことができ、親族がいない方でも弁護士や司法書士など、裁判所から最もふさわしいと判断された成年後見人が付いてくれるので、安心できます」

 

 

●「高齢者を独りにしないセーフティーネットが必要だ」

 


高齢化がすすむ日本では、契約時にトラブルにあったり、あるいは詐欺にあうというケースも起きるおそれがある。

 

「高齢者はお金を持っており、簡単にだませると思われているため、悪いことを考える輩からすれば狙われやすくなっています。

 

また、一人暮らしの高齢者は孤独であることが多く、(悪いことを企む)訪問者に対し、つい話をしてしまい、いつの間にかだまされているということも見受けられます。

 

とくに、認知症の高齢者は、判断力が低下してしまいますので、良いか悪いかなど判断できていない場合が多く、誘導されるままお金を支払っていると思われます。手口も、脅したあと優しく接し安心させるなど、高齢者の心理を巧みに操っている場合も多く、認知症の方では、対処が難しいものとなっています。

 

無縁社会などといわれる現代ですが、やはり周囲の方への声掛けや、様子伺いなどで、独りにしないセーフティーネットが必要であると考えます」

 

濵門弁護士はこのように述べていた。

 

(弁護士ドットコムニュース)

 

【以上,記事引用終わり】

 

 

投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.06.27更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 「うちの旦那の不倫相手の女性は定職がありません。そんな相手方に対し,慰謝料請求をしても意味があるのでしょうか?」——よくあるご相談です。

 ご相談者は,子どもがおり,まだ幼いので旦那とは別れたくないが,こんなことになってこれほど傷つけられていても「私にはどうすることもできないのですか?」と尋ねられることもあります。

 慰謝料を請求した場合,相手方に資産や収入があれば支払ってもらえそうだですが,働いていないいわゆる「ニート」で,資産もない場合はどうなるのでしょうか。

 

●夫婦関係が破綻していなければ,慰謝料は低額になる

 まず,夫(妻)が浮気したら,妻(夫)は相手方に対し,慰謝料請求できるということは,みなさんもよくご存じかと思います。しかしそもそも,高額な慰謝料は夫(妻)との夫婦関係の破綻(別居や離婚)を前提としたものでありまして,そうでない場合には,かなり慰謝料額が低額となることはあまり知られていないと思います。

 すなわち,浮気したパートナーとの夫婦関係が破綻しない場合は,不倫相手に対する「慰謝料」も少なくなるのです。

 その理由を,交通事故になぞらえて,説明いたします。

 そもそも,浮気は,夫(妻)と相手方との共同不法行為(民法第719条)となります。たとえば,2台の車が追突して,その結果として歩行していた被害者が事故にまきこまれたケースを想定してみます。この時,2台の運転手がいずれもよそ見をしていたならば,2人は共同不法行為の加害者になります。この2人の運転手が「相手方と夫(妻)」であるとしますと,被害者である歩行者は「妻(夫)」になります。

 浮気の結果,夫(妻)とやり直すということになれば,浮気によって家庭が崩壊したわけではありません。この場合,不法行為の結果が重大でないために,慰謝料は離婚に至った場合よりもかなり低額となります。

 それは事故でまきこまれた歩行者の怪我が軽かったのと同じなのです。浮気を知ってしまったご相談者の心中を察しますと,なかなかご納得いただけない場合も多いのですが…。

 

●「ニート」である不倫相手に慰謝料を払ってもらうのは難しい

 たとえ,もらえる慰謝料が少なかったとしても,夫(妻)の不倫相手に妻(夫)は慰謝料を請求したくなることもあると思います。それでは,その相手方が「ニート」など無職だったら,どう支払ってもらえるのでしょうか。

 慰謝料を請求するとして,定職も財産もない相手方からは,任意で払ってもらうのが難しそうです。かりに債務名義があったとしても,差押えをする対象(給料債権や預貯金債権)がないので,支払を強制するのも困難です。

 すなわち,「無い袖は振れぬ」との言葉があるとおり,お金のない人に支払ってもらうのはなかなか大変なわけです。

 そうすると,現実的には「泣き寝入り」となることもあるでしょう。

 相談者の方々には,「心中お察しいたしますが,現実的には,離婚を回避し,パートナーとの関係修復を目指すという方法もありますよ。」と説明する場面もままあります。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.05.06更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 いよいよGWもあとわずかとなりました。本日,弁護士ドットコムニュースに当職が監修した記事が掲載されました。

 【タイトル】夫が息子に「ヤンキーマンガに出てきそうな名前」をつけたがる…妻は阻止できる?

 以下記事を引用しておきます。

 

 【以下,記事引用始め】

 夫の考えた子どもの名前が「ヤンキーマンガ」に出てきそうなもので困っているーー。生まれてくる子どもの命名に悩んでいる妻の投稿が、ネットの掲示板で話題となった。

 投稿者の家庭では、もうすぐ第二子が誕生する予定。性別が男とわかってから、夫婦でお互いに名前の候補を出し合ったところ、ヤンキーだったわけではないのに、夫の出す案が「デコトラとかヤンキーバイクに書いてそうな漢字ばかり」なのだという。

 夫は自分の案を一歩も譲らない姿勢を見せているようだが、投稿者は夫が提案した名前は避けたいと考えている。夫が提案した名前を命名することを阻止できるのだろうか。子の命名について、法的ルールはどうなっているのか、濵門俊也弁護士に聞いた。

●子どもの命名は、夫婦共同で行う

 「子どもに名をつける権利(命名権)が誰にあるのかということについては、民法はもちろん、戸籍法にも明確な規定はありません。

 ただし、戸籍法52条1項は、子どもが生まれた際、出生の届出をする義務がある者を父母と定めています。

 このことから、父母が共同で命名して、出生の届出を行うことを当然の前提としていると考えられています」

 濵門弁護士はこのように指摘する。夫が勝手に命名することを、妻は阻止できるのか。

 「夫が勝手に子どもの名前をつけることはできませんので、投稿者は、夫が勝手に名前をつけることを止めることができます。

 ただ、その裏返しとして、妻も単独で子どもの名前をつけることはできません。

 結局のところ、夫婦でよく話し合って決める必要があるといえるでしょう」

 もし、夫に押し切られて、夫の提案する名前に折れてしまった場合、後で後悔しても遅いのだろうか。

 「どうしても納得できない場合は、出生届が出された後でも、改名を申し立てることができます。

 『正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない』(戸籍法107条の2)とされています。

 『正当な事由』としては、いろいろな要素が考えられますが、今回のケースでいえば、夫のつけた名前が、いじめや差別を助長する、珍奇で社会生活上支障をきたすといった主張が考えられるでしょう」

●原則として自由につけられる

 そもそも、子どもの名前自体に制限はないのか。

 「人の名に関する法的な規制は、戸籍法50条1項が、『子の名には、常用平易な文字を用いなければならない』と規定しています。

 また、戸籍法施行規則60条は、常用漢字、人名用漢字、変体仮名を除く平仮名又は片仮名の使用に限定し、一定の制限を設けています。


 こうした制限を除けば、親(父母)は、原則として自由に子どもの名前をつけることができます」

 (弁護士ドットコムニュース)

【以上,記事引用終わり】

 

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初めて弁護士に相談される方へ

投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.03.25更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 本日,当職がコメントした記事が弁護士ドットコムに掲載されました。

 ▼乙武さん妻の「謝罪声明」が波紋 「夫の不倫」の責任は妻にもあるのか?

【以下,記事引用始め】

 妻以外の女性との「不倫」が発覚した乙武洋匡さん。「一夫一婦制では不満足」と報じた週刊新潮の発売日に公式サイトですばやく謝罪し、火消しをはかっている。不倫で謝罪するのは珍しいことではない。だが、乙武さんのケースで異例なのは、妻も一緒に「謝罪声明」をだしたことだ。

 乙武さんの妻・仁美さんは声明の中で「このような事態を招いたことについては、妻である私にも責任の一端があると感じております」「本人はもちろん、私も深く反省しております」と記し、夫が不貞を働いた責任の一端が自分にもあるとした。

 しかし、このような妻の声明に対しては、「妻に謝罪コメント出させるなんて、サイテーだにゃ」(江川紹子さん)、「浮気は彼女が悪い?不倫は妻が悪い?そーいう考え方やだ!!」(鈴木紗理奈さん)と、女性から批判の声があがっている。

 一般的に、不倫は民法上の「不法行為」とされ、もし夫が妻以外の女性と肉体関係をもてば、妻はその相手女性に対して慰謝料を請求できる。そんなとき、慰謝料を請求された相手女性は「不倫された妻にも責任がある」と反論できるのだろうか。慰謝料を減らすため、妻の「落ち度」を主張することは認められるのか。男女関係をめぐる法律問題にくわしい濵門俊也弁護士に聞いた。

●妻が「法的責任」を負うことはないが・・・

 「今回の乙武さんの奥さまのコメントは、『先』を見据えた深謀遠慮(ここではコメントを差し控えます)に基づくものであり、一々コメントすることはあまり意味がないものと、私的には考えています。その意味において、江川さんや鈴木さんのコメントは的を得ていないと思います」

と断りつつ、濵門弁護士はこう続ける。

 「ただ、慰謝料を請求された不倫相手の女性が『不倫された妻にも責任がある』と反論できるかどうかと言えば、『できる場合もある』ということになります。

 誤解のないように述べておきますが、あくまでも不貞行為に及んだ人(本件でいえば夫)が責任を負うものであり、その配偶者(本件でいえば妻)が法的責任を負うものではありません」

 いったい、どういうことなのか。

 「『できる場合もある』と述べたのは、相手女性が『すでに婚姻関係が破綻している』と主張できる場合があるという話です。

 この主張は、不貞行為の相手方に損害賠償を請求する事件において、ほとんどの事案で相手方から主張される抗弁です。もっとも、この抗弁が裁判で認められるようになったのは意外に新しく、1996年の最高裁判決(最三小判平成8年3月26日)がその嚆矢となっています」

●「婚姻関係が破綻していたか」は客観的な事情で判断

 相手女性からの「婚姻関係が破綻していた」という主張が常に認められるかといえば、必ずしもそうではないようだ。

 「裁判所による『すでに婚姻関係が破綻していた』という認定は、夫婦間の関係を全体として客観的に評価することとされています。すなわち、当事者の主観のみで判断されるものではない、という点に注意が必要です。

 相手女性としては、慰謝料の金額を減らすか責任を免れるために、妻の『落ち度』を主張することがありえるでしょう。具体的には、夫婦間の慈しみが失われ、会話や食事等の日常的接触を避けるようになってからある程度の期間が経過し、さらに寝室や家計までも別々であった、などといった主張することが考えられます。

 しかし、相手女性が主観的に『婚姻関係が破綻していた』と考えていたとしても、その主張がそのまま裁判所に認められるわけではありません」

 乙武さんのケースではどうだろうか。

 「報道を見る限り、今回の場合は『婚姻関係が破綻していた』という状況にあったとはいえないように思います。また、公表された声明によれば、奥様は乙武さんを許していると考えられますので、そもそも、乙武さんと不貞行為に及んだ相手女性が『慰謝料』を請求される憂き目をみることはないように思われます」

と濵門弁護士は話していた。

【以上,記事引用終わり】

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 連載19年をほこる,国民的大人気漫画「ONE PIECE」。原作者は,当職と同じく熊本県熊本市出身の尾田栄一郎先生です(同郷のよしみで何とかお会いできないかといつも軽い妄想を抱いています。)。原作単行本を読んだり,毎週日曜日に絶賛放送中のアニメーションも視聴しております。

 今日は4年に一度の2月29日なので,何とか記事を書きたいなと思っていましたところ,「ONE PIECE」に関連して,なんと描き下ろしイラスト入りの婚姻届が登場したとのニュース報道に接しました。

 

 報道によりますと,デザイン婚姻届を販売している通販サイト「婚姻届製作所」が,2月に発売したとのことです。ルフィやゾロ,サンジなど,正装した主要キャラクターの描き下ろしイラストが,余白に大きくあしらわれています。主要キャラが集まった「麦わらの一味」に加え,キャラごとに全10種類が,税込み3000円で販売されているとのことでした。

 販売する「株式会社e'motion」(東京都新宿区)の担当者のお話によりますと,「原作でルフィが『宴だー!』と叫ぶ有名なシーンがあります。大勢のキャラが集まった,その場面の幸せ感,お祝い感を婚姻届で表現したいと考えました。男女問わずファンが多いことも,採用の理由です」と販売の経緯について,述べておられました。

 記事では,「ONE PIECE」に恋愛要素が少ないことに触れられていましたが,現在進行形の恋愛が少ないだけであり,数多くの恋愛模様(しかもそれぞれが美しく儚いですね。印象に残ります。)が描かれていると当職は思います。

 

 上記報道に接したので,「婚姻届の秘密」に関する豆知識を披露します。わが国年間で約67万件(平成24年度)提出されている婚姻届ですが,あまり知られていない意外な事実があります。それがつぎの3点です。

 ① 自分の住民票がある役所以外でも提出ができる

 ② 婚姻届を発行してもらった役場以外で提出も可能

 ③ (届出書のフォーマットを守れば)ある程度デザインが可能

 

 そうしますと,婚姻届はご夫婦となろうとする方々にとって,縁もゆかりもない土地,たとえば初めて新婚旅行で訪れた土地の役所に立ち寄って提出することもできるということです。自分が住んでいる市区町村役場でないとダメ,という決まりはないわけです。

 また,全国どこの役所でも婚姻届のフォーマットは統一されていますから,(甲県)乙市で受け取った婚姻届を(丙県)丁市の役所に提出することも可能とされています。

 そして,所定のフォーマットを崩さなければ婚姻届のデザインを変更することも可能とのことです(例えば,結婚情報雑誌の付録にあるような枠の色をピンクにした婚姻届も通用します。上記報道の記入欄外にキャラクターの絵を配置するなどの婚姻届も使えるわけです。)。

 

 通常,窓口に提出すれば二度と返ってこない婚姻届ですが,意外な点に目をつけた自治体や企業が地元発信や観光促進・キャンペーンのためにアイデアを凝らした婚姻届を作成し提供しているそうです。まさに「地方創生」の智慧ですね。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 法務省は,昨日平成28年2月18日の自民党法務部会において,①現在は「6か月」(180日)とされている女性の再婚禁止期間を「100日間」に改めるとともに,②離婚時に妊娠していなければ直ちに再婚を認める民法改正案の概要を明らかにしたそうです。

 後述するように,①の改正案は最高裁大法廷判決に沿ったものであり,予想通り極めて妥当であるといえますが,②の改正案は,最高裁大法廷判決よりさらに突っ込んだ内容となっており,「やるな,法務省」といった印象を受けます。

 

 もともと,再婚禁止の期間は,離婚した女性が産む子どもの父親が誰かを明確にするため,明治31年(1898年)に規定されたものを現行民法第733条が引き継いだ規定だったのですが,今回の改正案は,医学の進歩などを考慮して大幅に見直すことになったといえます。

 

 法務省は,現在行われている通常国会で,民法改正を目指し,3月には国会に法案を提出する予定だそうです。

 以前本ブログでも書きましたが,法務省はすでに運用を変更しています。

 最高裁大法廷は,昨年平成27年12月,女性の再婚禁止期間を定めている民法第733条第1項について,再婚までの期間が100日あれば,①離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子,②婚姻後200日後の子は現夫の子――ということとなり,嫡出推定が重ならないことから,100日を超える期間は「過剰な制約」であるとして,違憲と判断しました。この最高裁大法廷の違憲判決を受け,法務省は,離婚後100日を経過していれば婚姻届を受理するよう,全国の市区町村に対し,通知しています。

 

 このニュース報道は,日本国憲法の定める権力分立規定が健全に作用したことを裏付けています。これに対し,議員定数削減問題は,なかなか進展がありません。わずか10議席を削減することもできずにいるようです。主権者である国民は,心して政治を監視しなければなりません。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.16更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 当職は,最近離婚調停や訴訟の案件が増えておりまして,先日ある事件に関し,テレビジョン放送でコメントを求められた際,「離婚問題に詳しい濵門俊也弁護士によれば…」などと紹介されておりました。日に日に新たに精進する毎日であります。

 先日ある調停事件に臨みましたところ,裁判官を含めた調停委員会から「本調停は『なさず』で終了させることもご検討ください」と言われました。これに対しては,「当方は誠実に応対しているのであるから,『なさず』との措置は承服できない」と回答しました。

 なかなか「なさず」とは聞きませんから,渋いなと唸りました。そこで,今回は,「調停事件の終了事由」について概説します。

 

 調停事件は,一定の事由が生じますと,以後,調停手続として調停をつづけることができなくなります。この場合,事件が係属していた家庭裁判所の手から離れることとなります。このことを「事件の終了」といいます。

 調停事件の終了事由としては,つぎの7つがあります。

 ① 「成立」(その調停について,当事者間で合意ができた)

 ② 「不成立」(当事者間に合意が成立する見込みがなくなった)

 ③ 「なさず」(裁判所としては,その事件を取り扱わないこととする)

 ④ 「取下げ」(調停の申立人が申立てそのものを取り下げてしまった)

 ⑤ 「当然終了」(調停の当事者が死亡した)

 ⑥ 「移送」「回付」(その事件を他の家庭裁判所の取扱いとする)

 ⑦ 「調停に代わる審判」(裁判所が審判で解決案を提示する)

 

 先ほど述べました「なさず」という終了事由は,調停をしない措置のことであり,家事事件手続法第271条に規定があります。

 すなわち,家事事件手続法第271条には,「調停委員会は,事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき,又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは,調停をしないものとして,家事調停事件を終了させることができる。」と規定されています。

 「事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき」とは,求めている調停の内容自体が法律や社会正義に反する場合,たとえば,不貞関係を継続することや認知しないことを条件に一定の金銭の支払をするなどを意味します。

 「当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるとき」とは,当事者双方が無断で調停期日に欠席を繰り返す場合や調停制度の趣旨に沿った利用をする意思がないことが明らかな場合です。

 「なさず」という終了事由は,いわば調停委員会が調停を行うことは適当でないとして,これを拒否することです。その意味において,かなり厳しい内容といえます。

 「なさず」という調停をしない措置は,裁判ではありません。よって,これに対する不服申立てはできません。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

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