弁護士ブログ

2015.05.28更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

離婚した後に戸籍をどうするのかについては,とくに婚姻によって氏を変更した方(わが国では主に女性とされています。)にとっては,重要な問題になってきます。2回目の今回は,離婚後の戸籍について説明してまいります。あわせて,お子さんがおられる方も多いでしょうから,子どもの氏と戸籍についても補足しておきます。

■前回の記事はこちら▽

離婚した後に名字をどうするの?戸籍をどうするの?(上)

 

1 復籍について

 

婚姻により氏を改めなかった人は,離婚後も戸籍に変動はなく,そのままの戸籍にとどまります。これに対し,離婚によって旧姓に戻った人は,原則として婚姻前の戸籍に戻ります(これを「復籍」といいます。)。婚姻前の戸籍から父母が別戸籍へ転籍している場合には,その転籍後の戸籍に入ることになります。

 

2 新しい戸籍の編製

 

例外的に,つぎの場合は,新戸籍を作ってその戸籍に入ることとなります。

 

⑴ 婚姻前の戸籍が除籍されている場合

⑵ 婚姻前の氏に戻った人が新戸籍編製の申出をする場合

⑶ 婚姻時の氏を名乗りたいとして婚氏続称の届出を行った場合

 

※ 復籍した者が,その後に新戸籍をつくることはできますが,逆に,新戸籍をつくってしまった後に,やはり婚姻前の戸籍に戻りたいと思っても戻ることはできません。この点は注意が必要です。

 

【補足】 子どもの氏と戸籍

 

1 子どもの氏について

 

父母が離婚しても,子どもの氏は当然には変更されません。離婚によって子どもの親権者が旧姓に戻っても,子どもの氏が変わるわけではありません。そのため,たとえば,母親が親権者となり旧姓に戻った場合には,親権者である母親と子どもの氏が異なるということとなります。

 

また,少し分かりにくいのですが,親が婚氏続称の届出をした場合であっても,「婚姻中の氏」と「続称の手続をとった氏」は,法律上は,「別の氏」とされます。よって,呼び方は同じであってもその親と子の氏は異なることとなります。

たとえば,A山花子さんがB川太郎さんと結婚して,夫婦でB川という氏を名乗ることと決め,2人の間に花太郎くんという男子が生まれたとします。その後,花子さんと太郎さんは離婚をしたのですが,花子さんは婚氏続称の手続をとって「B川」という氏を名乗ることとした場合,花子さんと花太郎くんは「B川」というように呼び名は同じ氏であっても,法律上は別の氏として扱われるのです。

 

2 子どもの戸籍について

 

子どもの戸籍については,何らかの手続をとらなければ従前のままであり,自動的に親権者である親の戸籍に移動することはありません。また,子どもと親の氏とが異なる場合,子どもは親の戸籍に入ることができません。

 

そのため,婚姻により氏を改めた者が子どもの親権者になった場合には,子どもに自分と同じ氏を名乗らせない限り,自分と同じ戸籍に入れることはできないのです。この場合,子どもは従前の戸籍に入ったままとなります。

 

よって,婚姻によって氏を改めた親が親権者となり,子どもを自分の戸籍に入れたい場合には,家庭裁判所に対して「子の氏の変更許可(民法第791条)」を申し立てて,子どもの氏を自分の氏と同じにする必要があります。

 

なお,親が婚姻前の戸籍に復籍した場合で,親がその戸籍の筆頭者ではない場合には,子どもがその氏を変更しても,その戸籍に入るわけではありません。

この場合は,子どもの親を筆頭者とする新しい戸籍がつくられることになります。それは,戸籍は夫婦及び夫婦と氏を同じにする子どもごとにつくられる(戸籍法第6条)こととなっているところ,親が復籍した戸籍の筆頭者がその親の両親(子どもにとっては祖父・祖母)であるとしますと,親,子ども,孫の三世代の戸籍となってしまい,戸籍法に反する事態になってしまうからです。

 

3 子どもの入籍手続

 

家庭裁判所による子どもの氏の変更許可のみでは氏の変更の効力は生じません。

子どもが親の戸籍に入籍する旨の届出をすることが必要です。これにより,子どもの氏の変更の効力が生じることになります。

 

筆者について知りたい方はこちら(弁護士濵門俊也)

 

離婚・男女問題の情報はこちら

 

■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
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投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.05.28更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

離婚した後に名字(法律上は「氏」といいます。)をどうするのか,戸籍をどうするのかについては,特に婚姻によって氏を変更した方(我が国では主に女性となっています。)にとっては,重要な問題になってきます。今後2回に分けまして,論じていきたいと思います。

 

1 離婚後の氏について

 

⑴ 婚姻のときに氏を改めなかった人の場合

 

夫婦は婚姻の際,夫又は妻の氏のどちらかの氏を称することとなります(民法第750条)。婚姻により氏を改めなかった人(結婚後もそのままの名字を名乗っていた人)は,離婚をしてもそのままの氏を名乗ることになります。

 

⑵ 婚姻により氏を改めた人の場合

 

他方,婚姻により氏を改めた人は,離婚をすると婚姻前の氏(旧姓)に当然に戻ることとなります(これを「復氏」といいます。)。

 

ただし,婚姻時の氏を離婚後もそのまま名乗っていきたい場合は,離婚の日から3か月以内に,戸籍法上の「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を出せば,結婚していたときの氏を名乗ることができます(これを「婚氏続称制度」といいます。)。 

 

このように,婚姻によって氏を改めた人は,離婚をする際に旧姓に戻ることも,そのままの氏を名乗ることもできるのです。この届出は,離婚の届出と同時にすることも可能です。そこで,離婚を決意するに際しては,「氏をどうするか」という問題も決めておくとよいでしょう。なお,届出先は夫婦の本籍地又は届出人の所在地の役所となります。

 

2 婚姻により氏を改めた人の「氏の変更許可の申立て」

 

「婚氏続称の届」は,上記のとおり,離婚の日から3か月以内とされています。この期間は,たとえ地震などの自然災害があったとしても延長されないと考えられています。その趣旨は,「離婚後の氏は,すみやかに確定させるべき」という政策的観点によるものです。

 

ただし,3か月を過ぎたからといって,必ずしも「そのままの氏が名乗れなくなる」ものではありません。かりに,離婚して3か月以上経ってから,婚姻していたときの氏を名乗りたいと思った場合は,「氏の変更許可の申立て」(戸籍法第107条第1項)を家庭裁判所に対して行うことになります。

 

この「氏の変更」が認められるためには,「やむを得ない事由」がなければならないとされています。「やむを得ない事由」とは,「単に気に入らない」というだけでは認められず,現在の氏により社会生活上で不利益・不便が生じているなどの事情が必要です。

 

一般的には、「離婚によって旧姓に戻った方が氏の変更をする場合」や,「婚氏続称をした人が旧姓にやっぱり戻りたい」という場合の「氏の変更」は,ほかの場合よりも認められやすい,というのが裁判例の傾向です。

 

やはり,家庭裁判所への申立てに必要な時間的・労力的な負担があることや,氏の変更が裁判所に許可されない可能性もあることを考えると,離婚時までに「氏の選択」を行い,婚姻時の氏をそのまま名乗りたいという場合には,期間内に届出を出しておくべきでしょう。

 

■続きはこちら▽

離婚した後に名字をどうするの?戸籍をどうするの?(下)

 

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