弁護士ブログ

2020.01.06更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


年末の12月23日。最高裁判所が改訂版の「養育費算定表」を予定通り公表しました。
女子力の非常に高い当職の後輩弁護士が,公表当日,早速『養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究』(司法研修所編・法曹会)を購入してきました。
養育費は,調停・審判の場ではもちろん,裁判所外の話合いの場でも算定表に基づいて金額を決めることが多いと思いますが,算定表の見直しは平成15年(2003年)以来,16年ぶりとなります。通信費用など生活費が増えていることや,社会情勢が変化していることが考慮されたとのことです。
早速当職も裁判所ホームページを閲覧し,算定表をダウンロードしてみましたが,総じていえば,若干金額が増えたといえますし,他方であまり変わっていないともいえ,実務上の混乱は避けられるのではないかと考えます。


算定表が想定しているパターンで,最も高額となるのが「義務者(年収2000万円)と権利者(専業主婦・専業主夫)、子ども3人(全員14歳以下)」の5人家族となります。このケースでは,44~46万円が下限となります。この点に関し,旧算定表では40~42万円のレンジでしたから,4万円の増額となっています。
ただ,ここまでの高年収層の数は多くはないでしょう。当職が担当する家庭でも相当珍しいと思います。そこで,もう少し現実的な世帯の場合,新基準によるとどうなるのかをみてみましょう。

・「義務者(年収600万円)と権利者(専業主婦・主夫),子ども2人(全員14歳以下)」:10~12万円
・「義務者(年収400万円)と権利者(年収400万円),子ども2人(全員14歳以下)」:2~4万円
・「義務者(年収700万円)と権利者(年収350万円),子ども2人(全員15歳以上)」:8~10万円

新しい算定表のURLを載せておきますので,参考にしてください。
URL:http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html


結構問合せが多いのですが,新しい算定表が使われるのは、今後新たに養育費の金額を決める場合のみとなります。
いま現在,養育費が支払われている世帯ですが,今回の算定表は,「重大な事情の変更にあたりません」ので,算定表の基準が変わったことを理由として増額請求することはできません。もちろん,収入の増減や,再婚・新たな子の誕生などの事情があり,重大な事情変更があったことを理由として養育費の増額(減額)調停・審判を行う際には,新しい算定表が用いられます。


またこれも問合せが多いのが,成人年齢が引き下げられることとの関連性です。
一般的に,養育費の支払いを終える時期は「成年(成人年齢)に達する日の属する月まで」とされていることが多いです。
ご案内のとおり,すでに民法が改正されており、令和4年(2022年)4月から成人年齢は18歳に引き下げられます。引き下げ前に「成年に達する日の属する月まで」とされたものについては,今回の算定表では、引き下げに関係なく,基本的に20歳と解するのが相当とされました。


離婚するに当たっては,裁判所での調停・審判や公正証書で養育費の額をしっかりと決めることと強制執行できる紙を獲得することが重要です。
強制執行(差押えが中心となります。)できれば,義務者の給料から天引きされて,相手を介さずに会社から直接振り込まれるため,精神的な負担もありません。また,養育費には時効があります(5年・現行民法169条。改正法は短期消滅時効制度を廃止したので,やはり5年となります。)ので,「どうせ支払われないのではないか」などと諦めることなく,できるだけ早くに手を打ちましょう。
またこの点も重要ですが,算定表は,あくまで目安であって,その額に縛られるわけでもありません。当然ですが,状況に応じて増額したり,減額したりすることも可能です。

投稿者: 弁護士濵門俊也