弁護士ブログ

2015.06.08更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

当職ら(妻を含む。)は,毎週日曜日午前10時からフジテレビ系列で放送中の「ワイドナショー」を楽しみにしています。とくに,ゲストコメンテイターが長嶋一茂さんと社会学者の古市憲寿さんでしたので,大変面白かったです。

上記番組中,現在世間をにぎわせている「枕営業事件」に言及されていましたので,本ブログでもご紹介しておきたいと思います。

 

1 事案の概要

東京・銀座クラブのいわゆる「ママ」が,優良顧客であった会社社長と約7年間にわたり,肉体関係にあったとして,社長の妻(原告)がママ(被告)に対し,慰謝料等を請求した事件です。

 

2 判決の内容(上記判例タイムズから一部引用)

原告(社長の妻)の請求は棄却されました。すなわち,裁判所は,被告(クラブのママ)と会社社長との肉体関係は,慰謝料を発生させるような不法行為ではないと判断したわけです。 

ちなみに,被告(クラブのママ)は,いわゆる「本人訴訟」(我が国の民事訴訟法は,弁護士強制主義を採っていないため,弁護士を付けないで当事者本人が訴訟追行をすることができるのです。)であったようです。

 

裁判所が,上記結論を導いた論理は以下のとおりです。


「第三者が一方配偶者と肉体関係を持つことが他方配偶者に対する不法行為を構成するのは,原告も主張するとおり,当該不貞行為が他方配偶者に対する婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益に対する侵害行為に該当することによるものであり,ソープランドに勤務する女性のような売春婦が対価を得て妻のある顧客と性交渉を行った場合には,当該性交渉は当該顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず,何ら婚姻共同生活の平和を害するものではないから,たとえそれが長年にわたり頻回に行われ,そのことを知った妻が不快感や嫌悪感を抱いたとしても,当該妻に対する関係で,不法行為を構成するものではないと解される(原告は,当該売春行為が不法行為に該当しないのは,正当業務行為として,違法性を阻却することによる旨を主張するが,違法性阻却を問題とするまでもないというべきである。)。」。

 

【コメント】 「ソープランドに勤務する女性のような売春婦が対価を得て妻のある顧客と性交渉を行った場合には,当該性交渉は当該顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず,何ら婚姻共同生活の平和を害するものではない」との認定は異論もあるでしょうし,当職も了承できません。


「ところで,クラブのママやホステスが,自分を目当てとして定期的にクラブに通ってくれる優良顧客や,クラブが義務付けている同伴出勤に付き合ってくれる顧客を確保するために,様々な営業活動を行っており,その中には 顧客の明示的又は黙示的な要求に応じるなどして,当該顧客と性交渉をする『枕営業』と呼ばれる営業活動を行う者も少なからずいることは公知の事実である。」。

 

【コメント】 「公知の事実」は,「証明することを要しない」(民訴法第179条)とされていますが,要件事実である限り主張責任を認めるべきとされています(最判昭和28年9月11日裁判集民第9巻901頁)。はたして,「枕営業」は,裁判所の言うように「公知の事実」なのでしょうか。

ちなみに,当職の妻などは,本件裁判官が「枕営業」の片棒をかついでおり,自己正当化のための判決を起案したのではないかなどと過激なことを申しておりました(当職もそのような発想には至りませんでした。やはり女性の受けは悪いようです。)。

 

「このような『枕営業』の場合には,ソープランドに勤務するような女性の場合のように,性交渉への直接的な対価が支払われるものではないことや,ソープランドに勤務する女性が顧客の選り好みをすることができないのに対して,クラブのママやホステスが『枕営業』をする顧客を自分の意思で選択することができることは原告主張のとおりである。」。


「しかしながら,前者については,『枕営業』の相手方がクラブに通って,クラブに代金を支払う中から間接的に『枕営業』の対価が支払われているものであって,ソープランドに勤務する女性との違いは,対価が直接的なものであるか,間接的なものであるかの違いに過ぎない。また,後者については,ソープランドとは異なる形態での売春においては,たとえば,出会い系サイトを用いた売春や,いわゆるデートクラブなどのように,売春婦が性交渉に応ずる顧客を選択することができる形態のものもあるから,この点も,『枕営業』を売春と別異に扱う理由とはなり得ない。」。

 

【コメント】 「枕営業」と売春とが同じであるということです。突っ込みどころ満載です。 


「そうすると,クラブのママやホステスが,顧客と性交渉を反復・継続したとしても,それが『枕営業』であると認められる場合には,売春婦の場合と同様に,顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず,何ら婚姻共同生活の平和を害するものではないから,そのことを知った妻が精神的苦痛を受けたとしても,当該妻に対する関係で,不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。」。

 

【コメント】 なかなかの衝撃をうける内容です。一般化はできないと当職は考えますが,少なからず,これからの実務に影響を及ぼしそうです。
ちなみに,本判決について控訴はされていないため,この判決が確定してしまったようです(当職としては,少なくとも東京高裁の判断を仰いでもらいたかったです。)。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.06.03更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

渋谷区では,性別等にとらわれず,多様な個人が尊重され,一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮し,社会的責任を分かち合い,ともにあらゆる分野に参画できる社会の実現を目指した新たな条例が平成27年4月1日から施行されています。正式名称を「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」(通称は「渋谷区パートナーシップ条例」です。)。という条例ですが,この条例の施行を契機として,同性婚の議論が活発となっています。

そこで,今回は,日本国憲法における同性婚について論じてまいります。

 

 

1 日本国憲法第24条の確認と「両性」の意味

 

日本国憲法第24条には「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立し,夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない」と規定されています。

同性婚を議論するためには,まず,上記「両性」が何を意味するのかが問題となります。

 

この点に関し,「両性」は,男女だけでなく男男・女女も含むと解釈すれば,同性婚は合憲となります。この解釈では,むしろ,「同性婚を保護しないと違憲」という帰結となるでしょう。しかし,「両性」とは「①両方の性。雄性と雌性。男性と女性。②二つの異なった性質」(広辞苑)というのが日本語の通常の意味ですから,この解釈は文言上無理があるように思います(私見)。

 

 

2 日本国憲法第24条にいう「婚姻」とは何か

 

上記のように「両性」は「男女のみ」を意味すると解釈した場合,同性婚についてはどのように考えればよいのでしょうか。「婚姻」の意味が問題となります。

 

この点に関し,「婚姻」は「異性婚のみならず,同性婚も含む」と考えることはできるでしょうか。これは説として成り立ち得ません。なぜならば,「両性」を「男女のみ」と解釈する以上,同性婚が男女の合意で成り立つといったことは支離滅裂であるからです。

 

やはり日本国憲法第24条の「婚姻」の意味については「異性婚のみ」と考えるほかなさそうです。

よって,少なくとも日本国憲法第24条だけをみますと,同性婚は「婚姻」に含まれないこととなります。

そうしますと,日本国憲法第24条は同性婚について何も言及していないこととなります。

すなわち,「同性婚は,日本国憲法で禁止されていない」という帰結となります。当職はこの説を支持したいと思います(そこで,民法上の婚姻の意味を日本国憲法第24条とは異なるものとする立法は可能であると思います。)。

 

 

3 将来の展望

 

現実問題として,日本国で同性婚が公的に認められたケースはありません(しばしば,役所で受理されなかったというニュース報道が見受けられます。)。また,法文の文言には「夫」,「妻」,「夫婦」という文言が使用されていることから,民法学においては,「同性婚は想定されない」という解釈が一般的でしょう。

 

当職の印象ですが,近時の最高裁判所はかなりリベラルな判断を下しているように感じます。「同性婚を認めない制度運用は憲法違反である」という違憲訴訟が提起される日も遠くはないのかもしれません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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