弁護士ブログ

2015.05.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

いよいよ,平成27年6月1日(月)から改正道路交通法の一部が施行され,「危険行為」を繰り返す返す悪質な自転車の運転者に対し,講習が義務づけられることとなります。

この「危険行為」の類型が定められたのは,道路交通法そのものではなく,自転車の講習に関する「道路交通法施行令」の改正によるものです。

そこで,今回は,新たに施行される改正道路交通法についてみていきます。

 

1 道路交通法改正の狙い

今回道路交通法施行令が改正された狙いは何なのでしょうか。

従来,自転車の交通違反で摘発されたとしますと,反則金制度がなかったため,ただちに刑事手続となってしまう取扱いとなっていました。そのため,さほど重大ではない違反については,警察も摘発をためらっておりました。

しかし,今回,「自転車運転者講習制度」が整備されたことにより,刑事手続にしなくても「講習」で済ませることができるようになったため,これまでは摘発を見送っていたさほど重大でない違反も摘発されやすくなる可能性が増えました。

 

 

2 自転車運転車講習制度の導入

それでは,「自転車運転者講習制度」とはどのような制度なのでしょうか。

この制度は,3年以内に2回以上の「危険行為」を繰り返す自転車運転者には,「自転車運転者講習」の受講が義務づけられるのです。具体的には,受講命令が出てから3か月以内に3時間の講習を受講し,ご自身の自転車運転がいかに危険であったのかを学んでいただくというものです。ちなみに,講習料は,標準額で「5700円」とされています。

しかし,受講命令を無視しますと5万円以下の罰金が科されることとなります。

 

 

3 危険行為の類型

改正道路交通法で「危険行為」とされているのは,以下の14項目です。

 

⑴ 信号無視,⑵ 通行禁止違反,⑶ 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反),⑷ 通行区分違反,⑸ 路側帯通行時の歩行者の通行妨害,⑹ 遮断踏切立入り,⑺ 交差点安全進行義務違反等,⑻ 交差点優先車妨害等,⑼ 環状交差点安全進行義務違反等,⑽ 指定場所一時不停止等,⑾ 歩道通行時の通行方法違反,⑿ 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転,⒀ 酒酔い運転,⒁ 安全運転義務違反

 

 

4 今までどおり運転していれば問題ないんじゃない?

ここまでお読みになられた方の中には,「今までどおり運転していれば問題ないよね」と思われた方もおられるかもしれません。

しかし,それはたまたまこれまで事故に遭っていないだけであって,実際は「危険行為」をしてしまっていることがあるのではないでしょうか。

 

たとえば,信号無視,2人乗り,飲酒運転,夜間のライト無点灯といったものが「違反」であり,「危険行為」となることは,多くの方が認識されていると思いますし,「例外を除き,自転車は車道の左側を通行しなくてはならない」というルールを知らない人は少ないと思います。しかし,これらのルールが,実際に遵守されているでしょうか。

また,最近目につくのは,自転車を運転しながら携帯電話やスマートフォンを操作している人です。「携帯電話等の操作は『危険行為』に入っていないのでは?」といった疑問をもたれた方もおられるかもしれませんが,携帯電話等の操作は「危険行為」のひとつである「安全運転義務違反」に該当します。

 

※ 道路交通法第70条

「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」

 

 

5 「自転車保険」のススメ

実際,自転車による交通事故が多発しているのは事実であり,当職も相談を受けます。しかも,悲惨な事故になりやすく,場合によっては多額の賠償金を支払うこととなる事案も少なくありません。当職は「自転車保険」への加入を勧めています。

交通法規を遵守し,安全運転を心がけることは,自転車も自動車等も何ら変わりはありません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.05.28更新

交通事故による損害賠償請求をする際の証拠はどう集めるの?

 

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

1 交通事故による損害賠償請求の特徴

交通事故による損害賠償請求の法律上の根拠は,民法の不法行為に基づく損害賠償請求権(民法第709条,同第710条)です。そして,被害者が不法行為の要件事実について主張・立証責任を負うものとされています。しかし,この原則を貫くことは被害者保護の観点から問題があります。

そこで,交通事故による人身損害の場合には,被害者保護の要請から自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」といいます。)という特別法があります。これにより,被害者は加害者である運転者のみならず保有者等の運行供用者に対する責任追及ができるとされています。また,自賠法により,故意・過失の立証責任が加害者側に転換され,事実上,加害者に無過失責任に近い責任が課されています。このように,交通事故による損害賠償請求には「被害者保護」という特徴があります。

また,交通事故による損害賠償請求については,長年の実務の蓄積から損害額の算定や立証方法が,他の分野に比べて定型化している点が特徴です。

そして,自動車保険制度の普及によって,交通事故紛争の窓口として保険会社が登場してくる点も特徴といえます。

 

 

 

2 請求に必要な証拠の集め方

⑴ 交通事故発生の証明

交通事故発生の証明は,通常,「交通事故証明書」によることとなります。

当該交通事故の発生について,警察に届出がなされていれば,所轄の自動車運転センターで手数料を支払って,これを発行してもらうことができます。この交通事故証明書は,郵送によって交付を受けることもできます。この場合,警察署等に備え付けられている「交通事故証明書交付申請書」に必要事項を記入して手数料を振り込むこととなります。

 

⑵ 交通事故態様の証明

ア 刑事記録

事故態様の立証の際,もっとも重要な証拠資料は当該交通事故の刑事記録でしょう。この刑事記録は,被疑者が起訴されていれば,供述調書を含む確定刑事記録全体の閲覧・謄写が可能ですが,被疑者が不起訴処分に付されている場合は,実況見分調書のみの閲覧・謄写が可能とされています。

この確定刑事記録(不起訴事案については実況見分調書となりますが,以下,同様とします。)を閲覧・謄写するためには,前記の「交通事故証明書」をもとに,所轄の警察署の交通課に電話を架けて,「送致年月日」・「送致先」・「検番」・「罪名」を問い合わせます。その後,警察署から得られた情報をもとに,送致先の検察庁に対し,確定刑事記録の閲覧・謄写申請をすることとなります。

弁護士会照会によることもできますし,訴訟提起後であれば,裁判所に対し,文書送付嘱託を申し立てることにより収集することもできます。

 

イ 車両の破損状況

車両の損傷部位や損傷の程度から,衝突の状況が推測できることもあり得ます。その場合,車両の破損状況を写真や修理見積書等によって証明する場面もあるでしょう。

 

ウ 関係者の聴取報告書

不起訴事案の場合,当事者や目撃者等の供述調書が作成されていたとしても,入手できません。この場合は,所轄警察署の担当警察官から事情を聴き,目撃者の有無,所在等を聞き出し,当該目撃者に証言を依頼しなければならないこともあり得ます。

 

エ 事故現場の状況

実況見分調書に現場見取り図が添付されていたとしても,それだけではやや分かりづらい場合もあり得ます。その場合は,実地調査を行って写真撮影や図面を作成したり,インターネット上の地図・写真等を用いて証拠化することとなります。

 

⑶ 損害の証明

ア 治療関係費

傷病については「診断書」,治療費については「診療報酬明細書(レセプト)」を用います。

 

イ 通院交通費

通院交通費については「領収書」や「請求書」を用います。公共の交通機関(電車やバス等)を利用したなど,領収書がない場合は,経路を明らかにし,費用を割り出します。自家用車等を利用した場合は,経路と距離からガソリン代を請求します。

 

ウ 後遺障害

後遺障害の等級は,「後遺障害等級認定票」によります。この後遺障害等級認定票を取得するためには,まず,担当医に「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(通常,後遺障害診断書といわれますので,以下「後遺障害診断書」といいます。)」を作成してもらいます。この後遺障害診断書を取得した後,加害者の自賠責保険の保険会社や任意の保険会社等を通じて,損害保険料算出機構に後遺障害等級の申請をすることとなります。

 

エ 休業損害・逸失利益

休業損害・逸失利益を算定する際,基礎となる被害者の収入については,「源泉徴収票」や「確定申告書」によります。勤務先に収入や休業日数についての証明書を発行してもらうこともしばしばです。

 

オ 物損

車両損害については,「修理費の請求書」・「領収書」・「明細書」等を用いて算定します。車両損害の場合は,車両時価相当額が争点となることも多いです。この場合,有限会社オートガイド社が発行している「オートガイド自動車価格月報(通常,レッドブックと呼ばれます。)」で小売価格の証明をすることもあります。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.05.26更新

損害賠償額の算定における基準は一つではないの?

 

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

交通事故における損害賠償金の法的根拠は,民法の不法行為に基づく損害賠償請求権(民法第709条,同第710条)にあります。

 

もっとも,法律には,「損害賠償を請求できる」ということが規定されているだけで,「実際にその金額をいくらにするのか」ということについては規定されていません。


一口に「不法行為」といっても,その内容は事案ごとに異なります。

交通事故に限ってみたとしても,すべてがまったく同じ事故はないのですから,やはりその内容は事案ごとに異なるといわざるを得ません。

 

したがって,法律で画一的に損害賠償の金額を定めてしまうということは現実的ではありません。
とはいうものの,まったく何も基準がないということも問題です。特に裁判の場合には,類似の事案であるにもかかわらず,裁判官が変われば判断基準も異なり損害賠償金額も大きく変わってしまうというのでは,法的安定性を害しますし,公平な裁判を実現できません。

 

そのため,交通事故による損害賠償額の算定については,実務上三つの基準が存在しています。
具体的には,自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の支払基準(自賠責基準),任意保険会社の支払基準(保険会社基準),裁判基準(弁護士基準)があります。

 

 

1 自賠責保険の支払基準(自賠責基準)


自賠責保険は,国庫負担により,被害者の最低限度の損害填補を図ろうという公的制度です。
あくまで最低限度の補償ですから,損害のすべてが賄われるわけではありませんが,加害者の支払能力にかかわらず一定額の補償を受けられるという被害者保護において最も重大な制度といえます。

 

この自賠責保険における損害賠償額(または保険金額)については,法令によって一定の支払金額・支払基準が設けられています。そして,自賠責損害調査事務所によって損害額が査定されることになります。

 

自賠責保険による損害賠償額は,上記のとおり最低限度の補償です。

したがって,自賠責保険だけでは損害を填補しきれないという場合もあるでしょう。
その場合には,それを超える部分を加害者(または加害者側の加入している任意保険会社)に請求することとなります。

 

 

2 任意保険の支払基準(保険会社基準)


加害者が任意保険会社の自動車保険に加入している場合,被害者は,その加害者側任意保険会社から損害賠償金の支払を受けることができます。


任意保険会社に対しては,自賠責保険の支払基準を超える金額を請求することが可能ですが,弁護士介入前の交渉段階では,損害の全部を填補するだけの金額を支払おうとはしません。


それはなぜかといえば,各任意保険会社には,それぞれ各社ごとに内部的な支払基準があるからです。

弁護士介入前の交渉段階では,この各社ごとの支払基準を超える支払をしてくれないのが通常です。


かつては,各社に統一的な任意保険会社の支払基準がありましたが,現在では保険の自由化によって,各社ごとに支払基準が異なります(対応もまちまちです。ただし,大きな違いがあるというわけでもありません。)。

 

任意保険会社の支払基準は,もちろん自賠責保険の支払基準よりも高額となりますが,後記の裁判基準に比べると少額です。損害額によっては,大幅に少額となってしまう提示をされることもありますので,注意が必要です。

 

 

3 裁判基準(弁護士基準)


裁判所が,訴訟における基準を設けていたとして,それを公開するということはありません。

裁判例の積み重ねをみるほかないです。

ただし,実務上,裁判所においても利用されている基準があります。それが「弁護士基準」と呼ばれる基準です。

 

「弁護士基準」というのは,具体的にいいますと,日弁連交通事故相談センター東京支部による「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」といいます。)という書籍に掲載されている基準のことをいいます。

この赤い本の基準は,任意保険会社の支払基準よりも高額となります。金額的にいえば最も高額となる可能性があるのが,この基準なのです。
そして,弁護士に依頼していただければ,任意保険会社との示談交渉は,上記の弁護士基準で損害額を算定し,交渉に臨みます。

 

 

4 まとめ


実際の事故において,任意保険会社が提案する金額は,「保険会社基準」にしたがったものであり,「裁判基準」よりもはるかに低いケースがほとんどです。

しかも任意保険会社の言い値を鵜呑みにして受諾してしまう方が非常に多いのです。
それではもったいない。

 

上記の「三つの基準」を知っているかどうかで損害額が変わってしまうことはおかしいと思いませんか。
弁護士が介入し,裁判基準による適切な賠償額を獲得できるようサポートさせていただく意味がそこにあります。

投稿者: 弁護士濵門俊也

まずは初回無料相談をご利用ください。
inq_tel.png
弁護士濵門俊也 無料相談してみる