弁護士ブログ

2015.08.25更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 交通違反を犯した場合,悪質な違反行為に対しては公判請求され,「懲役刑」が科されます。また,比較的重い違反行為には「罰金刑」,軽微な違反行為には「反則金」,そして駐車違反の「放置違反金」がそれぞれ科されます。いずれも似ているように思えますが,それぞれの意味はまったく異なります。

 一般的な会話においては,罰金刑も反則金も放置違反金も,「罰金」と呼称していますが,決して同じものではございません。

 行政上の制裁金としての反則金や放置違反金,刑罰としての罰金刑,それぞれの違いをしっかり理解しましょう。

 

 

第1 反則金とは

 1 反則金制度

 反則金制度とは,車を運転した者が犯した違反行為が比較的軽微な場合(反則行為といいます。),指定期日まで(青切符が発行され反則金納付書を受け取り受理した日から8日以内)に所定の反則金額を最寄りの金融機関へ納付を行えば,犯した交通違反に対し刑事裁判を反則金を納めることで免除する制度です。

 ここにいう反則金とは,法律上は,警察本部長の通告に基づいて反則者が「任意に納付する行政上の制裁金」とされています。

 反則金を支払えば,刑事上の責任は生じず前科も付きません。

 しかし,任意の納付であるとはいえ,納付しなければ検察庁から呼出しを受けることとなり,挙句の果てには罰金に変化してしまいます。

 また,違反の摘発に納得せず刑事裁判を受けることとなれば,反則金制度は取消しとなり,判決により無罪又は罰金刑のどちらかとなります。

 罰金刑の場合には,刑罰ですから,前科一犯となってしまいます。

 

 2 反則金の使い道

 納付された反則金は,まず国に納められ,交通安全対策特別交付金として,毎年,交通事故の発生件数や人口の集中度などを考慮して都道府県や市区町村に交付されています。

 この交付金は,「交通安全対策特別交付金に関する政令」に基づき,信号機,道路標識,道路標示,歩道,ガードレール,横断歩道など,道路における安全施設の設置と管理等に要する責用に充てられ,目的外使用はできないこととなっています。

 

第2 放置違反金とは

 駐車違反(放置違反)の行政制裁金のことであり,反則金と同額で,納付は違反をした運転者でなく,その車の車検証等の車両登録上の使用車(運転者と同じであっても)に課せられます。

 

 

第3 罰金刑とは

 1 刑罰としての罰金刑

 罰金刑とは,法律に定められた刑罰の一つで,「前科」となります。

 単純に罰金の金額が高いというだけの問題ではありませんので,ご注意ください。

 すなわち,反則金や放置違反金は,納めた時点で違反行為に対する処理が終了します。

 しかし,この違反の場合は,違反者は刑事裁判を受けることとなり,被疑者として検察庁で取調べが行われ,被告人として刑事裁判により刑罰が決められます。

 

 2 手続の流れ

 被疑者は,一度以上検察庁に出頭し,違反した事実に関して取調べが行われ,刑事裁判を受けることにより刑罰が決められます。 

 もっとも,一口に刑事裁判といっても,被疑者が違反した事実を認め不服がなく,検察官が「略式起訴」による処理が相当であると判断した場合は,公判に出頭することなく,書面上だけで簡易な「略式裁判」を受けることが可能となります(通常の事件のほとんどは,この略式起訴,略式裁判となります。)。

 

 かかる略式裁判によって下された略式命令に応じれば,あとは罰金の処分が決定します。

 略式命令が下されるのは,被告人が違反した事実を認め,不服がない場合ですから,実質的な審理もありませんし,無罪にはなりません。

 もちろん,被疑者において違反した事実に不服があり,略式裁判に応じない場合は,検察官により公判請求(公開法廷における審理を求める起訴のことです。)され,正式裁判となります。

 正式裁判となった場合には,有罪(懲役刑か禁錮刑となるでしょう。罰金刑はほとんどありません。)か無罪のどちらかしかありません。

 

 公判請求された場合でも前科がなく,今後も同様の違反を犯す可能性が少ないなどと裁判官が判断をした場合,執行猶予が付くことがほとんどですから,公判請求即実刑とはなりません。

 交通違反で実刑判決になる場合は,死亡・重傷事故を除いて,よほど悪質な違反を継続的に繰り返すなどの極悪ドライバーでない限り,ごく稀であるように思います。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2015.08.07更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

1 「人身事故証明書入手不能理由書」とは?

 

 この書類は,読んで字のごとく「人身事故の交通事故証明書を入手できない理由を書いた書類」のことです。比較的軽度な自動車事故においては,事故発生後110番通報をし,警察に現場確認をしてもらったとしても,大抵「物損事故」として処理をされてしまいます。

 しかし,後日むち打ち症などを発症した場合は,事実上「人身事故」となります。

 ただし,記録上は「物損事故」として処理がされているため,このままでは自賠責保険の適用が受けられません。

 

 そこで登場するのが,上記「人身事故証明書入手不能理由書」です。後日むち打ち症などを発症したような状況に陥りますと,加害者側の任意保険会社からこの書類が送られてきます。そこに必要事項を記載して申請することにより,自賠責保険の適用を受ける,というような流れとなります。

 なお,申請の際,物損事故扱いの「交通事故証明書」も必要となりますので,お忘れなく。

 

 

2 さて,この人身事故証明書入手不能理由書を利用する際には,必ず覚えておいて欲しいことがあります。

 

■「あくまで『理由書』であり,『証明書』ではない」というリスク

 

 「交通事故証明書」と「人身事故証明書入手不能理由書」の大きな違いは,その証拠能力です。人身事故としての交通事故証明書があれば,それ自体で人身事故があったという証明は足りるため,自賠責保険から保険金が支払われます。

 

 しかし,「人身事故証明書入手不能理由書」は,あくまでも人身事故による交通事故証明書を入手できない理由を書いた自己申告書類なのです。ということは,その気になれば嘘を書くこともできてしまうのです。

 

 そのため,必ずしも保険会社がそれを鵜呑みにしてくれるとは限らないのです。これが,みんなが忘れているリスクです。

 

■可能な限り「警察署で人身事故へ切り替えること」が最優先!

 

 交通事故後,1週間から10日以内程度であれば,医師の診断書を書いてもらい警察署で手続をすれば,物損事故から人身事故に切り替えを行なうことができるでしょう。

 

 そうすれば,「人身事故証明書入手不能理由書」よりも確実な「人身事故の交通事故証明書」が入手できますので安心です。

 

 警察は,人身事故への切り替えを嫌がるため,「人身事故証明書入手不能理由書」の利用を勧めてくる場合がありますが,より確実に自賠責保険から補償を受けるためには,やはり人身事故としての事故証明の入手が第一優先です。「人身事故証明書入手不能理由書」はあくまでも「入手不能」な場合に限り利用すべきなのです。

 

■「人身事故証明書入手不能理由書」には何を書くの?

 

 「人身事故証明書入手不能理由書」には,加害者,被害者の氏名や住所といった基本的な情報はもちろん記載しますが,ポイントとなるのは入手できない「理由」についてです。もちろん嘘は許されません。交通事故後しばらくしてから症状が発症した等の理由であれば,理由が認められる可能性も高いでしょう。

 

■物損から人身に切り替えたい

 

 そういった相談があれば,早めに弁護士濵門俊也にご相談ください。非協力な加害者,保険会社を動かすには,弁護士の力を借りるのが早いです。また,慰謝料・示談金の請求でも増額の期待がもたれます。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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