弁護士ブログ

2015.10.06更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 与野党攻防の末に成立した平和安全法制について,学生らでつくる「SEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy - s)」が「賛成した議員を落選させよう」と発した呼びかけが,静かな波紋を広げているようです。明年平成28年(2016年)夏に参議院議員選挙が予定されていますが,選挙運動には公職選挙法で様々な規制があり,「まだ選挙が始まってもいない段階で,選挙に向けた動きをするのは違法ではないか」との声もあるようです。

 そこで,今回は「落選運動」について,説明してみます。

 

●「落選のみ」が目的ならば選挙運動に該当しない

 そもそも選挙運動とは何なのでしょうか?

 総務省サイトによりますと,選挙運動とは,「特定の選挙に特定の候補者を当選させる目的で投票を勧める行為」と定義づけられています。

 公職選挙法においては,この選挙運動は「選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしかすることができない」とされています。この選挙期間より前に選挙運動を行うことは「事前運動」として禁じられており,1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金が科される可能性があり,選挙権及び被選挙権が停止される可能性があります。

 

 では,落選運動は,この「選挙運動」に含まれるのでしょうか?

 落選運動の定義を探ると,ネット選挙が解禁された平成25年(2013年),「インターネット選挙運動等に関する各党協議会」がまとめた改正公職選挙法のガイドラインで,つぎのようにはっきりと示されていました。

 「何ら当選目的がなく,単に特定候補者の落選のみを図る行為である場合には,選挙運動には当たらないと解されている」

 すなわち,落選運動は選挙運動ではないのです。それゆえ公職選挙法による時期の制限を受けません。よって,「落選運動は,今すぐできる」ということとなります。

 

●未成年者が落選運動を行っても“問題なし”

 選挙権のない未成年者について(先の通常国会における法改正により18歳未満の未成年者を意味します。),公職選挙法では選挙運動を禁じているものの,落選運動について未成年者を規制する法令は何もありません(本来,政治活動は自由なのです。)。落選運動に未成年者が取り組んでも「問題とはならない」のです。

 もちろん,「落選のみが目的」というところがポイントです。かりに,「誰かを落選させて,誰かを当選させる」という意図が認められると,公職選挙法の事前運動禁止などの規定に触れることになるので注意が必要です。

 さらに,平成25年(2013年)の公職選挙法改正により,選挙期間中には,ウェブサイトなどに選挙運動や落選運動に使用する文書図画を掲載する際は,運営者に連絡が取れる電子メールアドレスなどを表示することが義務づけられました。ただし,この表示義務は,選挙期間中のみの規制ですから,選挙期間ではない時期なら,この規制を受けることはありません。

 以上のことから,インターネットを使って今すぐ,たとえ未成年者であっても,「特定の候補者の落選」を目指した情報発信を自由に進めていくことができることとなっています。もちろん,根拠のない誹謗中傷などは論外ですが,落選運動は選挙運動と比べ,はるかに自由に展開できると思います。

投稿者: 弁護士濵門俊也

まずは初回無料相談をご利用ください。
inq_tel.png
弁護士濵門俊也 無料相談してみる