弁護士ブログ

2015.12.17更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 昨日のブログでも紹介いたしましたが,夫婦別姓を認めていない民法750条について,最高裁大法廷は昨日平成27年12月16日,「夫婦同姓の制度は我が国の社会に定着してきたもので,家族の呼称として意義があり,その呼称を一つにするのは合理性がある」などとして,憲法に違反しないという判断を初めて示しました。15人の裁判官のうち10人が「合憲」としましたが,その一方で,女性裁判官3人を含む5人が「違憲」という意見(この少数意見のことを「反対意見」といいます。)を表明しました。

 最高裁は同日夜,ウェブサイトで判決文を公開しました(ちなみに,最高裁の判決文は,ウェブサイトで誰でも見ることができます。)。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/546/085546_hanrei.pdf

 

 今回は,最高裁判決における「意見」について,説明してみます。

 

●各裁判官の「意見」が表示されるのは,最高裁の判断だけ

 三審制を採用しているわが国における判決等の裁判は,地方裁判所,高等裁判所,最高裁判所など,それぞれの審級における裁判があります。

 しかし,最高裁判所における裁判のみが,他の審級の裁判所の場合と違って各裁判官の「意見」が表示され,他の裁判は,合議体(複数の裁判官で構成される裁判所のことです。)の場合に,かりに各裁判官間で意見が分かれたとしても,裁判においてはそのような意見の違いは表示されることはなく,結論しか表示されません。裁判所法11条は,最高裁について「裁判書には,各裁判官の意見を表示しなければならない」と規定し,他方,最高裁判所以外の場合には,合議体の裁判における評議の内容・各裁判官の意見については,秘密を保持することを要求しています(裁判所法75条2項後段)。このような評議の秘密の規定を設けた趣旨は,裁判官間における自由な意見の確保や裁判の権威を守るため等の点があげられます。

 よって,最高裁以外の裁判においては法廷の意見とならなかった個人的見解などは公表されないわけです。

 

●最高裁判所だけが異なる趣旨は?

 では,どうして最高裁判所だけ取り扱いが異なるのでしょうか。

 英米ではむしろ個々の裁判官が裁判の理由を述べるのが原則とされており,戦後米国の影響を受けて改正されたわが国の裁判制度も,最高裁判所だけは英米のそれにならって個別意見の表示を取り入れたとされています。そして,最高裁で意見を表示する趣旨は,衆議院議員総選挙の際に行われる最高裁判所裁判官の国民審査の資料とする点にあるとされているのです。

 

●各裁判官の「意見」の内容

 多数意見・法廷意見と同じ結論に至った少数意見として,さらに「補足意見」と「意見」とが示される場合があります。

 「補足意見」は,多数意見の理由・論理の補足の説明です。多数意見が,どうして,そのような判断となっているのかという理解が深まります。

 「意見」は,多数意見が採用した理由・論理とは異なる理由・論理を採りながらも,結論は多数意見と同じとなったものです。本件とは異なる事案において,考え方の参考となります。

投稿者: 弁護士濵門俊也

まずは初回無料相談をご利用ください。
inq_tel.png
弁護士濵門俊也 無料相談してみる