弁護士ブログ

2016.09.27更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


 最近のテレビジョン放送のニュース報道を視聴しておりますと,ある犯罪の被疑者の画像や,犯罪・災害等で亡くなられた方の画像が使用される場合,「Facebook」よりというという文言が添えられたうえで,放映されていることが多く見られます。
 この場合,各テレビ局は画像の使用許諾を被疑者や遺族に取ってから使用するのでしょうか?それとも,情報をWebサイトにあげた時点で万人にダウンロードされることは想定の範囲内として扱われてしまうのでしょうか?
 そこで,今回はニュース報道とFacebookの画像使用について説明いたします。

ちなみに,Fasebookの利用規約

2.コンテンツと情報の共有
「公開」の設定を使用してコンテンツまたは情報をすべての人に公開するということは,Facebookを利用していない人を含むあらゆる人がその情報にアクセスして使用でき,投稿した人の名前やプロフィール写真などと関連付けることが可能だということを意味します。


●報道目的の利用は,著作権法上認められている


 Facebook等のSNSの写真を被疑者等の承諾なく利用するという意味においては,写真の著作権の侵害の有無が問題となり得ます。

 SNSの写真の場合,前提として,「その撮影者(著作者)は誰か」という問題があります。この問題は,自撮りの写真であれば本人が著作者であり,別の人が撮影したのであればその別の人が著作者となります。

 そして,著作者が誰であるにせよ,報道機関が,事故の被害者はどういう人なのかということを報道する目的で,SNSの写真を使用(新聞掲載やテレビ放送)したという場合,そのような利用は著作権法41条(時事の事件の報道のための利用)により認められているので,違法であるとはいえません。


【参照条文】 著作権法第41条

(時事の事件の報道のための利用)

第41条  写真,映画,放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には,当該事件を構成し,又は当該事件の過程において見られ,若しくは聞かれる著作物は,報道の目的上正当な範囲内において,複製し,及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。


 ちなみに,ネットが媒体でも,それが報道であれば,著作権法41条により写真の使用が認められます。


 もちろん,著作権法上適法となる使用は必ずしも報道目的に限られません。「報道」のみならず,「批評,研究その他」の目的であれば,著作権法32条に基づく「引用」として,写真の使用が認められる可能性があります。

 

【参照条文】 著作権法第32条

(引用)

第32条  公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

2  国若しくは地方公共団体の機関,独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し,その著作の名義の下に公表する広報資料,調査統計資料,報告書その他これらに類する著作物は,説明の材料として新聞紙,雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし,これを禁止する旨の表示がある場合は,この限りでない。


 よって,例えば,まとめサイトの場合も,誰かに関する記事をまとめたうえでコメントや分析がなされているようなものであれば,その人の写真を貼ったとしてもそれは,広い意味では「批評」や「研究」を目的とした「引用」として認められるケースもあり得るでしょう。
 他方,2ちゃんねるなどの掲示板に,何のコメントも付けずに,亡くなった人の写真をただ貼り付けたような場合は,「報道,批評,研究その他」に該当する余地がないため,正当な「引用」には該当せず,著作権法上違法であるということになると思います。


●亡くなられた方の画像が使用される場合,遺族の「敬愛追慕の情」が侵害されたかどうかがポイント


 以上の場合とは異なり,犯罪・災害等で亡くなられた方の画像が使用される場合,亡くなったご本人が,自分のSNSの写真を報道写真などに使われることを想定しているとは考えがたいのではないかという疑問は,そのとおりであると思います。
 そのような観点から,亡くなったご本人の権利(たとえば肖像権やプライバシー権)を侵害するのではないかと考える方がいるかもしれません。
 しかし,ご本人は亡くなっているため,法律上はもはや,権利の主体となることができません。よって,亡くなったご本人自身の権利の侵害は問題とはならないのです。

 問題となるのは,遺族の権利です。
 亡くなった人のメディアでの扱われ方によっては,遺族の方の「故人に対する敬愛追慕の情」が侵害されたとして,遺族の方々の損害賠償請求が認められることがあり得ます。
 たとえば,報道機関が,亡くなった方の容貌を報じるためにSNSの写真を新聞に掲載したり,テレビニュースで放送したりしたような場合,通常,亡くなった方を貶めるものとはいえませんので,敬愛追慕の情の侵害があったとはいえないでしょう。
 他方で,インターネットの掲示板やまとめサイトなどで,亡くなった人の写真を掲載したうえで,たとえば「かわいい」「かわいくない」「イケメンだ」「キモイ」等と容貌をあげつらうような採り上げ方がなされている場合には,遺族の方々の心がとても傷つくということがあり得るでしょう。
 そのような場合には,遺族の方々の「故人に対する敬愛追慕の情」の侵害が認められる可能性があると思います。
 もっとも,掲示板やまとめサイトの場合,その実行者が誰であるかを突き止めるのが難しいという実際上・事実上の問題はあることはご承知おきください。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

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