弁護士ブログ

2016.03.14更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

先日平成28年3月11日,当職が監修した記事が,Webページにて紹介されました。

夫名義のマンションに居座る「義理の妹一家」...追い出すことはできない?【小町の法律相談】

以下,記事を引用いたします。

【以下,記事引用始め】

 「夫名義の家に住み着く義理の妹一家を追い出したい」という女性が、Yomiuri Onlineの「発言小町」に相談を寄せました。

 トピ主によると、義理の妹は駆け落ちして2児をもうけるも、夫の借金問題などで離婚(現在は再婚して新しい家族あり)。住むところがなくなり、当時独身だったトピ主の夫が購入した中古マンションに親子で住み着いたそうです。

 その後、夫はトピ主と結婚、子どももできました。トピ主いわく「(夫は)年上のため定年まであまりありません。収入はありますが、夫があまりお金に執着がなく使うほうなので、子どもの進学などがいまから心配です」。そこで将来的には、夫名義のマンションを売って換金することを考えており、義理の妹一家にはマンションを明け渡してほしいと希望しています。

 トピ主の相談に対して、レスには「婚前に買ったマンションは、ご主人だけのものです。どうしようとご主人の勝手。あなたにはあれこれ指図する権利はありません」と、トピ主が出る幕ではないという意見が並びました。

 トピ主は、義理の妹一家にマンションを明け渡してもらうことはできるのでしょうか。濵門俊也弁護士に話を聞きました。

(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部と弁護士ドットコムライフ編集部が再構成したものです。)

 

 A. 「明け渡してもらうことはできません」

 結論から申し上げますが、トピ主は現時点で、義理の妹一家にマンションを明け渡してもらうことはできません。

 トピ主の義妹一家は、トピ主の夫から無償でマンションの部屋を借りています。この状態を法律用語で説明すると、義妹は「使用借権」(無償で借りる権利)を有していることとなります。

 本件中古マンションは、トピ主の夫が独身時代に購入したということですから、トピ主の夫の「特有財産」です。特有財産とは、「婚姻前から片方が持っていた財産」と、「婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産」のことです。

 特有財産は夫婦の共有財産ではなく、例えば、処分するかしないかといったことは、取得した人に決める権利があります。トピ主は、本件中古マンションに関しては「現時点においては」何の権利もなく、義妹一家に明け渡しを要求することはできません。ですからトピ主としては、夫を説得し、義妹一家を追い出してもらうほかありません。

 もっとも、先ほど「現時点においては」と断わりを入れたのは、相続のことを念頭に置いたからです。仮にトピ主の夫がトピ主よりも先に亡くなり、相続が発生した場合には、トピ主が本件中古マンションの所有権を取得できる可能性があります。

 そして相続後には、貸主として義妹一家に「解約」の申し入れをし、本件中古マンションの使用貸借契約を終了させることができます。しかし義妹一家が同意しない場合には、裁判に発展することもあり得ます。裁判では、使用期間の長短、ほかに住む場所があるかどうか、諸々の事情に基づいて判断されるでしょう。

 ちなみに、義妹が亡くなった場合には本件中古マンションの使用借権が消滅します(民法第599条)。なお、義妹の子どもや現在の夫は、使用借権を相続できません。

【以上,記事引用終わり】

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.03.01更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日(平成28年3月1日)午後,世間の耳目を集めるある事件の判決の報道がありました。

 愛知県大府市において,認知症の男性(当時91歳)が1人で外出して列車にはねられ死亡した事故を巡り,JR東海が男性の同居の妻(93歳)や首都圏に居住していた長男(65歳)らご遺族家族に対し,約720万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決の話です。最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は,男性の同居の妻に賠償責任を認めた第2審判決を破棄し,JR東海側の請求を棄却する判決を下しました。これにより,男性のご遺族家族側の損害賠償責任が一切免れたこととなります。

 

 超高齢化社会時代を迎えたわが国においては,500万人を超える認知症の人が生活しているそうです。上記事故自体は,平成19年(2007年)に遡りますが,上記判決は,認知症の人を介護する家族の監督責任を巡る初めての最高裁判決となりました。最高裁は極めて妥当かつ賢明な英断を下したと当職は率直に思いました。実際に介護に関わるご家族や従事者の方々のご苦労やご心労を思いを致しますと,その先例性は極めて高いものといいたいところです。

 

 民法第714条は,未成年者のうち自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない者(民法第712条)や精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にあった者(民法第713条本文)らが第三者に損害を与えた場合,代わりに監督義務者らが責任を負うとする一方,監督義務を怠らなければ例外的に免責されると規定しています。

 【参照条文】

  (責任無能力者の監督義務者等の責任)

 第714条

 第1項 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
 第2項 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
 

 本件の争点は,①妻と長男は男性の監督義務者に当たるか,②当たるとしても,免責されないか,の2点でした。

 第1審と第2審の判断は割れました。第1審の名古屋地裁は,長男を事実上の監督者と認定し,妻の監督義務者としての責任も認め,2人に対し,全額の支払いを命じました。これに対し,第2審の名古屋高裁は,長男の監督義務を否定したものの「同居する妻は原則として監督義務を負う」とし,妻に対し,約360万円の賠償責任を認めました。これを不服としてJR側と男性のご遺族家族側の双方が上告し,本年2月の口頭弁論を経て,本日の判決となりました。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 連載19年をほこる,国民的大人気漫画「ONE PIECE」。原作者は,当職と同じく熊本県熊本市出身の尾田栄一郎先生です(同郷のよしみで何とかお会いできないかといつも軽い妄想を抱いています。)。原作単行本を読んだり,毎週日曜日に絶賛放送中のアニメーションも視聴しております。

 今日は4年に一度の2月29日なので,何とか記事を書きたいなと思っていましたところ,「ONE PIECE」に関連して,なんと描き下ろしイラスト入りの婚姻届が登場したとのニュース報道に接しました。

 

 報道によりますと,デザイン婚姻届を販売している通販サイト「婚姻届製作所」が,2月に発売したとのことです。ルフィやゾロ,サンジなど,正装した主要キャラクターの描き下ろしイラストが,余白に大きくあしらわれています。主要キャラが集まった「麦わらの一味」に加え,キャラごとに全10種類が,税込み3000円で販売されているとのことでした。

 販売する「株式会社e'motion」(東京都新宿区)の担当者のお話によりますと,「原作でルフィが『宴だー!』と叫ぶ有名なシーンがあります。大勢のキャラが集まった,その場面の幸せ感,お祝い感を婚姻届で表現したいと考えました。男女問わずファンが多いことも,採用の理由です」と販売の経緯について,述べておられました。

 記事では,「ONE PIECE」に恋愛要素が少ないことに触れられていましたが,現在進行形の恋愛が少ないだけであり,数多くの恋愛模様(しかもそれぞれが美しく儚いですね。印象に残ります。)が描かれていると当職は思います。

 

 上記報道に接したので,「婚姻届の秘密」に関する豆知識を披露します。わが国年間で約67万件(平成24年度)提出されている婚姻届ですが,あまり知られていない意外な事実があります。それがつぎの3点です。

 ① 自分の住民票がある役所以外でも提出ができる

 ② 婚姻届を発行してもらった役場以外で提出も可能

 ③ (届出書のフォーマットを守れば)ある程度デザインが可能

 

 そうしますと,婚姻届はご夫婦となろうとする方々にとって,縁もゆかりもない土地,たとえば初めて新婚旅行で訪れた土地の役所に立ち寄って提出することもできるということです。自分が住んでいる市区町村役場でないとダメ,という決まりはないわけです。

 また,全国どこの役所でも婚姻届のフォーマットは統一されていますから,(甲県)乙市で受け取った婚姻届を(丙県)丁市の役所に提出することも可能とされています。

 そして,所定のフォーマットを崩さなければ婚姻届のデザインを変更することも可能とのことです(例えば,結婚情報雑誌の付録にあるような枠の色をピンクにした婚姻届も通用します。上記報道の記入欄外にキャラクターの絵を配置するなどの婚姻届も使えるわけです。)。

 

 通常,窓口に提出すれば二度と返ってこない婚姻届ですが,意外な点に目をつけた自治体や企業が地元発信や観光促進・キャンペーンのためにアイデアを凝らした婚姻届を作成し提供しているそうです。まさに「地方創生」の智慧ですね。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.22更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 一時期に比べますと事件としては減少していますが,まったくなくなるわけではない分野として,いわゆる「クレサラ問題」があります。最近も自己破産申立事件の相談を数件受け,受任しましたし,破産管財人として選任されている事件もあります。

 自己破産申立事件においてとくに注意しなければならない問題は,いわゆる免責不許可事由がある事案です。主に浪費やギャンブル等によって借金をしてしまい,支払不能に陥ってしまいましたという事案です。そこで,今回は「免責不許可事由と裁量免責」について,説明します。

 

●浪費等をした場合には免責不許可事由に該当する

 破産法第252条第1項第2項は,つぎのように定めています。

 破産法第252条

 第1項 裁判所は破産者について,次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には,免責許可の決定をする。

 1~3号 略

 4号 浪費又は賭博その他の射倖行為をしたことによって著しく財産を減少させ,又は過大な債務を負担したこと

 5号~11号 略

 第2項 前項に規定にかかわらず,裁判所が相当と認めるときは,免責許可の決定をすることができる。

 

 ブランド品の購入,贅沢な飲食や旅行,競馬やパチンコなどのギャンブルなどに限らず,要するに,収入に不相応な支出をしたことが,破産法第252条第1項の「浪費又は賭博その他の射倖行為」に当たります。もっとも,単に不相応な支出をしただけでは免責不許可事由とはなりません。このような出費をした結果,その人の財産が「著しく」減少したり,「過大な」借金ができたりした場合にはじめて,免責不許可事由となります。

 

●「裁量免責」の可能性

 もちろん,免責不許可事由に該当するからといって,一切免責が認められないというわけではありません。かりに免責不許可事由に該当した場合でも,裁判所が相当と認めれば,免責は受けられます(第2項)。これを「裁量免責」といいます。どのような場合に相当と認められるのかは,事案によりますが,たとえば,つぎのような点が考えられます。

・無駄遣いを止め,その原因を排除していること

・無駄遣いには病的な原因が考えられるが(ギャンブル依存,買い物依存など),既にこれを克服していること

・消費者被害の可能性があること(マルチ商法,内職商法など)

・借金の大半については合理的な理由があること

・破産申立てに至ったことについてやむを得ない事情があること

・今後,経済的更生ができる具体的な見込みがあること

・債権者が免責に反対していないこと

・家計簿をつけるなどして,家計を改善していること(*)

・反省文を提出していること(*)

・按分弁済をしていること(*)

 *これらは,裁判所から,免責を認める条件として実行を指示されることがあります。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 法務省は,昨日平成28年2月18日の自民党法務部会において,①現在は「6か月」(180日)とされている女性の再婚禁止期間を「100日間」に改めるとともに,②離婚時に妊娠していなければ直ちに再婚を認める民法改正案の概要を明らかにしたそうです。

 後述するように,①の改正案は最高裁大法廷判決に沿ったものであり,予想通り極めて妥当であるといえますが,②の改正案は,最高裁大法廷判決よりさらに突っ込んだ内容となっており,「やるな,法務省」といった印象を受けます。

 

 もともと,再婚禁止の期間は,離婚した女性が産む子どもの父親が誰かを明確にするため,明治31年(1898年)に規定されたものを現行民法第733条が引き継いだ規定だったのですが,今回の改正案は,医学の進歩などを考慮して大幅に見直すことになったといえます。

 

 法務省は,現在行われている通常国会で,民法改正を目指し,3月には国会に法案を提出する予定だそうです。

 以前本ブログでも書きましたが,法務省はすでに運用を変更しています。

 最高裁大法廷は,昨年平成27年12月,女性の再婚禁止期間を定めている民法第733条第1項について,再婚までの期間が100日あれば,①離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子,②婚姻後200日後の子は現夫の子――ということとなり,嫡出推定が重ならないことから,100日を超える期間は「過剰な制約」であるとして,違憲と判断しました。この最高裁大法廷の違憲判決を受け,法務省は,離婚後100日を経過していれば婚姻届を受理するよう,全国の市区町村に対し,通知しています。

 

 このニュース報道は,日本国憲法の定める権力分立規定が健全に作用したことを裏付けています。これに対し,議員定数削減問題は,なかなか進展がありません。わずか10議席を削減することもできずにいるようです。主権者である国民は,心して政治を監視しなければなりません。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.16更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 当職は,最近離婚調停や訴訟の案件が増えておりまして,先日ある事件に関し,テレビジョン放送でコメントを求められた際,「離婚問題に詳しい濵門俊也弁護士によれば…」などと紹介されておりました。日に日に新たに精進する毎日であります。

 先日ある調停事件に臨みましたところ,裁判官を含めた調停委員会から「本調停は『なさず』で終了させることもご検討ください」と言われました。これに対しては,「当方は誠実に応対しているのであるから,『なさず』との措置は承服できない」と回答しました。

 なかなか「なさず」とは聞きませんから,渋いなと唸りました。そこで,今回は,「調停事件の終了事由」について概説します。

 

 調停事件は,一定の事由が生じますと,以後,調停手続として調停をつづけることができなくなります。この場合,事件が係属していた家庭裁判所の手から離れることとなります。このことを「事件の終了」といいます。

 調停事件の終了事由としては,つぎの7つがあります。

 ① 「成立」(その調停について,当事者間で合意ができた)

 ② 「不成立」(当事者間に合意が成立する見込みがなくなった)

 ③ 「なさず」(裁判所としては,その事件を取り扱わないこととする)

 ④ 「取下げ」(調停の申立人が申立てそのものを取り下げてしまった)

 ⑤ 「当然終了」(調停の当事者が死亡した)

 ⑥ 「移送」「回付」(その事件を他の家庭裁判所の取扱いとする)

 ⑦ 「調停に代わる審判」(裁判所が審判で解決案を提示する)

 

 先ほど述べました「なさず」という終了事由は,調停をしない措置のことであり,家事事件手続法第271条に規定があります。

 すなわち,家事事件手続法第271条には,「調停委員会は,事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき,又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは,調停をしないものとして,家事調停事件を終了させることができる。」と規定されています。

 「事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき」とは,求めている調停の内容自体が法律や社会正義に反する場合,たとえば,不貞関係を継続することや認知しないことを条件に一定の金銭の支払をするなどを意味します。

 「当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるとき」とは,当事者双方が無断で調停期日に欠席を繰り返す場合や調停制度の趣旨に沿った利用をする意思がないことが明らかな場合です。

 「なさず」という終了事由は,いわば調停委員会が調停を行うことは適当でないとして,これを拒否することです。その意味において,かなり厳しい内容といえます。

 「なさず」という調停をしない措置は,裁判ではありません。よって,これに対する不服申立てはできません。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.02.10更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 神奈川県川崎市の多摩川河川敷で昨年平成27年2月,当時中学1年生であった被害者の男子生徒(当時13歳)を仲間2人と共謀して殺害したとして,殺人罪などに問われたリーダー格の無職少年(19)=事件当時18歳=の裁判員裁判の判決で,横浜地方裁判所(近藤宏子裁判長)は10日午後3時30分,懲役9年以上13年以下を言い渡したとのニュース報道がありました。

 

 被告人の少年に対し,検察側は平成26年(2014年)の少年法改正で不定期刑の上限となった懲役10年以上15年以下を求刑していました(検察側は無期懲役を求刑しなかったのです。)。他方,弁護側は改正前の上限と同じ懲役5年以上10年以下を求めていました。結論としては,現行法のほぼ上限の不定期刑が下されましたので,本件の刑事責任の重さがうかがい知れます。

 不定期刑という言葉は,あまり聞きなれないかもしれません。少年法に規定されている不定期刑は,「相対的不定期刑」といわれるものです。「相対的不定期刑」とは,自由刑のうち,刑期の最短・最長を定めて刑を宣告するものです。実際の刑期は個々の事案に基づいて判断され,判決の時点では明確な期間は定められていません。不定期刑の一種で,対語に「絶対的不定期刑」がありますが,これは罪刑法定主義に反するとされています。

 相対的不定期刑は,日本では,「少年に科す刑罰」のひとつです。

 

 かくいう当職も先週から裁判員裁判を担当しており,今週金曜日午後に予定されている判決期日を残すのみとなっています。当職が裁判員裁判を担当するのは,今回が10件目であり,実に2年ぶりにやったのですが,やはりハードでした。連日法廷も準備もかなり神経を使いました。

 当職個人としては,弁護士しか弁護人を務めることができない刑事事件は好きなほうですが,弁護人としてのスキルがまだまだ足りないなと反省する日々です。

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.01.26更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 一昨日行われた大相撲初場所において,琴奨菊関が悲願の初優勝を果たしました。日本出身の日本人力士としては元大関・栃東関以来10年ぶりとなる快挙でした。本当におめでとうございます。

 琴奨菊関のこれまでの道のりは決して平らな道ではありませんでした。何度も怪我に泣かされ,大関陥落の危機(いわゆる「カド番」)も5度を数えます。他方で,今場所は「10年ぶりの日本出身力士の優勝か?!」と囁かれていましたから,プレッシャーは半端なかったでしょう。

 しかし,そんな苦闘の過去や重圧をはねのけて,賜杯をつかんだわけです。

 もはや感動しかありません。

 琴奨菊関が2011年9月,大関昇進の伝達式で述べた口上が,「万里一空(万理一空)の境地を求めて日々努力,精進いたします」でした。

 「万里一空」という言葉は,もともとは,宮本武蔵の『五輪書』に登場する「山水三千世界を万里一空に入れ,満天地とも攬る」という一節に由来します。「世界はどこまでいっても空は一つ」「すべてのものは一つの世界に留まっている」という考え方です。「動揺せず,常に冷静な気持ちで事に当たる」「一つの目標に向かって精進する」などの意味として解釈されます。

 琴奨菊はこの言葉の意味について,「すべての理(ことわり)は一つの空(くう)に帰する。どんな努力も,目指す先は一つ。目標を見失うことなく努力する」と説明されています。このことから,一部報道では五輪書で書かれている「万里一空」(「り」が「里」)ではなく,「万理一空」(「り」が「理」)と表記しているものが多いのです。

 この言葉通り,琴奨菊関は,今場所,自分の目指す相撲に徹しました。低く,鋭い立ち合いで相手の懐に入り,得意のがぶり寄りで,アッという間に土俵際へ追い込む。反撃の隙すら与えない一気呵成の攻めが光りました。

 心もぶれはありませんでした。11日目に横綱・白鵬関を倒した後,「自分を信じてできた」とインタビューに答え,残りの土俵も「ぶれたら終わり」と戒めておられました。

 琴奨菊関は,大阪府立体育会館で開催される春場所(3月13日初日)で,初の綱取りに挑みます。32歳を目前にして「心技体」が揃った琴奨菊関の活躍を祈ります。 

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.01.21更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 先週報じられた国民的大人気スーパーアイドルグループの解散報道は,何とか事なきを得て終息に向かおうとしているようです。今回の報道では,当該アイドルグループが,わが国はもちろん全世界の方々に多大な影響を及ぼしていることを痛感させられました。また,わが国の芸能界の闇が深いということをまざまざと知らされました。

 今回の騒動は,ある意味において,「産みの親と育ての親の対立」であったと評し得るかと思いますが,今回の騒動を受け,当職は,大岡越前こと大岡忠相(以下「大岡越前」といいます。)の「子争い」という名裁きがあったことを思い出しました。

 

【あらすじ】

 ある時,大岡越前のところに,ふたりの女がひとりの子を連れてやってきました。

 ふたりの女は,いずれも,「自分こそこの子の本当の母親です」と言って譲りません。

 そこで,大岡越前は,つぎのように言いました。

 「子の腕を持て。お前は右じゃ。そちは左を持つがいい。それから力いっぱい引き合って勝ったほうを実母とする」

 ふたりの女は,子どもの腕を思いきり引っぱり始めましたが,子どもが痛がって泣きわめくので,一方の女は思わず手を放しました。

 勝った女は喜んで子を連れて行こうとしましたが,大岡越前は,「待て。その子は手を放した女のものである」と言います。

 勝ったと思った女は当然ながら大岡越前に激しく抗議します。「なぜでございますか。勝った者の子だとおっしゃられたではありませぬか」

 その抗議に対し,大岡越前はつぎのように諭しました。

 「本当の母親なら子を思うものである。痛がって泣いているものをなおも引く者がなぜ母親であろうか」

(おしまい)

 

 もともと大岡裁きは史実ではなく,古典をもとにしたフィクションばかりであったといいます。今回の騒動に対する世論は,当職の見立てでは,おそらく前述の「子争い」に対する大岡裁きに近い(育ての親に同情している)と思われます。

 ちなみに,前述の「子争い」のお話は,中国の古典『棠陰比事』(とういんひじ)をモチーフにしているようです(『棠陰比事』は,中国の裁判記録集であり,宋の桂万栄の著です。)。

 

【あらすじ】

 ある兄弟が同じ家に住んでいたとさ。兄の嫁と弟の嫁は同時に懐妊し,兄嫁の子は腹の中で死んでしまいました。

 しかし,兄嫁はこのことを黙っており,まもなく生まれた弟の嫁の子を奪い取って自分のものにしようとしました。跡継ぎがいないと,その家の財産を自分のものにできないからです。

 ひとりの子どもをめぐって3年もの間言い争い,ついに裁判所に訴え出て裁きを受けることとなってしまいました。

 判事は女房たちに対し,子どもを奪い合わせて勝ち取ったほうが本物の母親といいます。

 そこで子争いが始まります。兄嫁は子どもの足が折れるほど激しく奪い取ろうとするのに対し,弟の嫁は子どもがかわいそうで力を込められない状況でした。

 それを見て判事は,子どもは弟の嫁のものとして,兄嫁を処罰したとさ。

(おしまい)

 

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投稿者: 弁護士濵門俊也

2016.01.18更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

 本日(平成28年1月18日)の東京は,大雪によって大変混乱しました。昨日1月17日は,絶対に忘れてはならない1995年(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災から21年目に当たる日でした。

 

 2014年(平成26年)上半期に放送されたNHK連続テレビ小説『花子とアン』において,関東大震災の後,再会したヒロイン・花子の夫がその息子と抱き合うシーンがありました。演出では「花子や子どもと再会し,安堵の笑いを浮かべる」となっていたそうです。しかし,花子の夫役を演じた若手俳優・鈴木亮平さん(以下「鈴木さん」といいます。)は,「絶望の中で家族が生きていたことを知った時,人は笑えるのだろうか?僕は普段,演出家には意見を言わない。でも,その時だけは意見を出させてもらった。本番では,そのシーンで,ただただ子どもを抱きしめた」(神戸新聞2015年1月2日付けから引用)とその心情を述べておられます。

 阪神・淡路大震災が起きた1995年(平成7年),鈴木さんは小学6年生でした。こだわりをもって演じられたドラマの一場面は,当時の記憶を重ねた演技であったようです。

 鈴木さんは語っています。「あの時,子ども部屋の2段ベッドで兄貴と寝ていた。地震が起きてすぐに父親が部屋に飛び込んできた。『地震だ。外に出るぞ』。暗闇の中,部屋に立つ父親のシルエットが頭に焼き付いている。芝居では,子どもを守ろうとしたあの時の父の姿,気持ちをイメージした」(神戸新聞2015年1月2日付けから引用)

 「地震からしばらくして阪神電車が神戸まで復旧した日,父親に連れられて電車に乗った。車窓から見えた神戸のまちは悲惨だった。『この景色をしっかり覚えておけ』。父からはそう言われた。地震とはどういうものか,地震が起きればまちはどうなるのか。父と一緒に電車に乗りながら,痛み,苦しみを知った」(神戸新聞2015年1月2日付けから引用)

 

 人が窮地に立たされた時,鈴木さんのお父様のごとき厳たる人の存在は何ものにも替え難いものです。

 当職は,「最も苦しんだ人が,最も幸福になる権利があります。また,最も苦労した人が,最も偉大な勝利をつかめるのです。」と師に教えていただきました。その言葉を胸に今日も職務を遂行しています。 

 

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